誰も教えてくれない驚くべき真実

 結果的にこの仮説は実証され、わが社の残業時間はさらに減っています。

 仮に人件費が「1時間1000円」とします。
「30分早くなる」と、人件費が500円安くなる。
 社員が200人いれば、1日あたり「10万円」人件費が浮きます。
月の出勤日数を20日間で計算すれば、月200万円、1年で2400万円です。

たった30分時間を縮めるだけでも、1年間で2400万円も人件費を削減することができる

 驚きではありませんか。

 一度に大きな成果を狙わず、小さな改革を積み重ねよう
 最初から大きな改革をすると、うまくいきません。
 最初から、大きな成果を挙げようとすると、社員はついてこれません。
 大切なのは、今できる小さな改革を積み重ねていくこと。
そして、「成果は急がない。けれど、取り組みのスピードを上げること」です。
 プリマベーラの吉川社長も「最初からムリをすると、成果が挙がらない」と実感しています。

 プリマベーラは、残業時間の削減(就業時間の目標)を経営計画書に明記しています。
「2年前は『月に100時間以上は働いてはいけない』と書き、昨年は『月に95時間以上』と書き、今期は『月に90時間以上』と書いています。
 5時間ずつ刻んだのは、5時間ならムリがないと判断したからです。10時間の削減を一気にすると、生産性を劇的に上げないといけないので、社員にムリを強いることになりかねません」(吉川社長)

「終電が当たり前」から
どうやって夜8時半退社へ?

 ISO総合研究所の山口社長も、「従業員がイメージできる改善策でないと、うまくいかない」と考えています。

「小山社長は常々、『社長の仕事は決定することで、社員の仕事は実行すること』だとおっしゃっています。
 とは言え、当社は、終電で帰るのが当たり前の環境でしたから、『明日から定時で帰る』と決定しても、すぐには実行できません。
 いきなり大きな成果を期待するのは難しい。
 そこで、『1日1分だけ昨日より早く帰る』ことを目標にした。牛歩のような戦術ですが、結果的にうまくいったと思います」(山口社長)

 以前のISO総合研究所は、社員が残業時間中に、「筋トレをする」「焼き肉をたらふく食べに行く」「社員のお誕生日会をする」など、やりたい放題だった。
 しかし、「1日1分の改善」が定着した結果、終電で帰るのが当たり前だった会社が、実施後3ヵ月間で、「夜8時半には帰れる会社」に変わっています。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/