子育てと教育にも
後悔は集中している

 締め切りに追われ、息子の運動会の日に小学校の駐車場に止めたクルマの中で原稿を書いた年もありました。

 子供が参加する競技の時間になるとグラウンドで観戦し、その後はクルマに戻って執筆というサイクルを繰り返したものの、自分が参加する親子競技の時間が予定より早く来てしまい、会場のアナウンスで探されてしまいました。そのアナウンスにも気づかず、入場門に着いたときには、体育座りの整列の中、一人立ち上がって私をキョロキョロ探し続けている息子がいました。

 息子には心細い想いをさせてしまいましたが、それでも運動会に参加することが何より私には重要だったのです。一生懸命競技に打ち込む子供の姿、成長した姿に触れることはもちろんですが、「ちゃんとここで見守っているから」というメッセージを伝えたかったのです。

 運動会を欠席して、執筆に没頭する選択肢を選んでしまったら、それこそ大切な絆が切れてしまうような気さえしたのです。

「仕事と家庭の両立」という言葉は簡単ですが、その実現はなかなか困難なものです。ですが、特に家庭のことに関して、子供だけにはしっかり向き合っていこうというのが私の考えです。

 実は、子育てについては、諸先輩の後悔を随分と見聞きしてきたので、反面教師的にしながら、とにかく時間は短くても母親任せにせず、積極的に子供に関わることを意識してきましたし、対話を心がけてきました。事あるごとに大人社会のこと、企業社会のこと、仕事のことを話してきました。

 子育てや教育に関して明確な「答え」を持っているわけではありませんが、「こうすると後悔する」という反面教師の教えだけは守ろうとしています。