「面倒なほう、厳しい道、よりタフな状況」を選ばせる

 現代の子どもたちが置かれた状況は、親の世代とは比較にならないほど物があふれ、便利なコンビニライフになっています。「超便利社会」の申し子なんです。

 実際、コンビニを思い浮かべてください。陳列されている商品は、日常生活に欠かせない品々で、あなたが探さなくてもいいようにそこに置いてあるはずです。そして、子どもたちはマンガを立ち読みし、ガリガリ君を買って帰るのにひと言もしゃべる必要はない。コンビニは巨大な自動販売機になろうとしているんです。

 一方、缶ジュースの自動販売機がしゃべり、エレベータがしゃべり、カーナビもしゃべります。人間のインテリジェンスが上がるより早く、周囲の環境のいたるところにセンサーとチップが埋め込まれ、それがインターネットにつながってAI×ロボット化するから、僕たちはますます考えないで済むようになっていきます。

 これに慣れてしまうと恐ろしいことになりますよね。あっちこっちで思考停止状態になって、AI×ロボット社会に生かされているだけになってしまう危険がある。

 人間のロボット化です。

 自分の子をそうしたくないのだったら、便利・簡単な超の付くコンビニライフの逆張りで、どれだけ予測不能な状況に突っ込めるかなんです。人間として生きるには、どれだけアタマを柔らかくして対処したかの勝負になりますから。

ですから、親が助言できる局面では、「簡単なほう、やさしい道、よりラクな状況」ではなく、「面倒なほう、厳しい道、よりタフな状況」を選ぶよう勧めること。

 そうすれば、その経験を通じて、自分の希少性を高めていく道が開けます。希少性をできるだけ上げて、自分の価値を高めることがこれからの社会では大切になります。