岡田 ネットは匿名か本名かという問題が議論になっていますが、そんなことを言ってられる状況ではなくなっちゃう。もうちょっと進化したら、いずれ匿名でやったことがバレる時代がくる。現に、僕らみたいに人前で顔をさらしている人間には、もうプライベートはなくなってますよね。
堀江 こないだロケットの実験のとき、北海道の滝川市のびっくりドンキーでゴハンを食べてたんです。そしたら、となりの人がジロジロ見るわけです。食べ終わったあとツイッターを見てみると「となりで食べてました」って(笑)。
タモリや、みのもんたは
毎日200万円くらい払えばいい
――メディアの話になったのでうかがいますが、今回の震災では、radikoが区域を拡大したり、広島の中学生がiPhoneでNHKを流したのをきっかけに、テレビ局がネット中継を始めましたよね。
堀江 これには、技術的な側面と評価経済的な側面の2つがあると思います。まず技術的なことからいうと、テレビはインターネットの一番上の、アプリケーションレイヤーの中の動画コンテンツでしかないんです。そして、あんないい電波帯域を専有して動画しか流さないのが、なんて愚かなことなのかを露呈しましたよね。テレビじゃなくて、ニコニコ動画やユーストリームでいいじゃんってことがわかった。
――テレビ局がネット配信をして評判が上がった。でもまた、結局もとのポジションに戻ってしまう。テレビの側の人は、堀江さんがずっと言い続けていたことを理解していると思います?
堀江 理解している人もいれば、理解していない人もいる。あと、理解するのが本能的に嫌なんでしょうね。俺たちはこんなちっぽけな存在だったのか、ってことを自ら認めることになるから。でも、NHKだけが今もなぜネット配信を続けているかっていうと、実は巨大なFREEexシステムだからなのかなって思うんです。放送法って縛りはあるけど、NHKにはみんなボランタリーに金を払っているわけです。だからこそ、彼らはインターネットとかソーシャルメディアの側にいきたい。でもそれを民放側が嫌がる。
岡田 民放の存在理由がないっていうのを認めることになっちゃうから。
堀江 僕はまさに民放をFREEexシステムにしたかったんです。動画コンテンツはインターネットの一部でしかないし、これからはインターネットの時代になるわけだから、NHKのように月額視聴料をとればいい。面白いものをつくれば、みんな喜んで金を払いますよ。
岡田 民放をFREEexシステムにしようと思ったら簡単で、テレビに出たい人が金を払えばいいんです。テレビに出ている人はそれだけで注目値と評価値が上がって得をしているんだから、彼らはお金を払うべき。タモリとかみのもんたは、毎日200万くらい払えばいい。そしたら制作費も安くあがる。それでテレビに出るのをやめるかっていったらきっとやめない、それを超えるメリットが彼らにはちゃんとあるはず。それを超えるメリットがないと、昼間1週間続けてテレビに出るべきじゃないんです。
堀江 そうなったら、少なくとも売れてないお笑い芸人とかは、ガンガン金を払ってくれると思いますよ。
(第3回最終回は4月28日公開予定です)
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