理解することと実行することは
別ものである

 やるべき課題を出し「やったか」とチェックすることは、社員の実行力を引き出すことにつながります。社員がいくら頭で理解していても、実行しなければ意味がありません。会社の利益にはつながらないのです。

 こんな統計数字があります。100人の社員が同じことを聞いた場合、その内容を理解できる人8割の80人。理解したうえで、その内容に賛同する人はその半分の40人。そしてそれを実際に実行する人は、そのうち2割の8人だけだというものです。

 つまり100人の社員に、いくら説教をしても、説明をしても、実行する社員は8人にすぎないということです。この数字は、私の経験と照らし合わせてもまさにそのとおりだと実感できるものです。

 理解することと実行することは、まったく関係がありません

 社長が「どうしてもわかってもらって、実行してほしい」ことを、心を込めて一生懸命熱弁をふるって説明したとします。そして、社員のみなさんもそれに応えて「わかった、やります」と心から誓ったとします。

 多くの場合、社長はこれでやってくれるものと確信して期待するでしょう。「よかった。これで利益が出るはずだ」などと思い込みがちです。楽観的な社長は「よし、これでできた」と思って「今期は楽しみだ」などと期待するかもしれません。

 私が実際に遭遇した場面です。ある事件が起きました。報告、連絡、相談(ホウレンソウ)を疎かにしたことが原因で、会社に多大な損害を与えました。

「ホウレンソウさえしっかりできていれば、こんな損失を被らなくてもすんだのに。よし、朝会で全社員に話して徹底的に守ってもらおう」と社長は考えました。

「これからは報告をしっかりやり、連絡は忘れないように、そしてわからないことがあったら必ず相談するように!」