Q3.購入した後に気になる!
「基準価額のチェック」はどうしたらよいですか?

 よく「投資信託はマーケット商品なので、今の基準価額がいくらなのかを定期的にチェックしましょう」とおっしゃる方がいます。

 これは、長期投資を前提にするのであれば、全くの無駄であると申し上げておきましょう。人は弱いもので、基準価額が上昇すると喜び、逆に基準価額が下落すると落胆します。たいていの人が「買ったときよりもプラスか、マイナスか」ということが気になって仕方ないものでしょう。

 もちろん、短期のトレードをするのであれば、日々の基準価額に気を配っておく必要がありますが、20年、30年という長い間運用するのであれば、日々の基準価額の推移に気を配るというのは、あまり意味がありません。それを調べるのに、わざわざパソコンを立ち上げる時間さえ、もったいないと思います。

 たとえば複数の投資信託を用いて、自分で分散投資のポートフォリオを組んでいるような人は、リバランスの問題がありますから、やはり定期的に基準価額の動向をチェックしておく必要がありますので、放置しておくのはお勧めできません。

 でも、国際分散投資型の投資信託で運用している場合は、リバランスもファンドマネジャーがやってくれるので、この手の投資信託で運用している人は、逆に、基準価額の動きに気を取られないようにした方が良いでしょう。

 どうしてか。それは、値上がりしていても、値下がりしていても、「売りたくなる」のが人情だからです。

 大きく値上がりしている場合、利益確定売りをしてみたくなる人は多いものです。もちろん、利益を確定させた後、他にもっと良い投資信託を買って、よりお金を殖やすというのであれば問題ないのですが、ほとんどの人はそれができません。

 逆に下がった時に基準価額を見ていると、狼狽して解約してしまうこともあります。『○○ショック』といったような全世界の株価が一斉に下がったときなどは、ついつい解約してすべて現金にしてしまったりします。

 しかし、それだけは絶対に避けてください。世界経済の成長に乗るようなポートフォリオで運用している投資信託であれば、目先で値下がりしたとしても、いつか世界経済の成長に伴って、基準価額は上昇していきます。特に積立投資をしている人ならなおのことそうです。

 何しろ、基準価額が下がった方が、より多くの口数を購入できるのですから、むしろ基準価額が下がったことを喜ぶべきなのです。安いときに多く買えれば、購入平均単価は下がりますから、その後、少し株価が上向いただけでも大きくプラスに働きます。

 長期投資は上がっても、下がってもずっと運用し続けるものです。下がったところではたくさん買えて嬉しい、上がったら資産が増えて嬉しい、そういうものなのです。基準価額をチェックすることで、上がっても下がっても売りたくなるならば、ハッキリ言って、見ないほうがいいのです。

Q4.「長期投資」とは、何年くらいが「長期」なんですか?

 長期投資をしましょう、という話をすると、よく返ってくる質問は、「長期投資って何年間、運用すればいいんですか?」というものです。

 ある金融機関では、投資信託を購入しようとしている顧客に対して、「投資信託は長期投資が鉄則ですから、出来れば3年から5年は保有して下さい」と説明しているそうです。

 3年から5年の運用期間を長期投資といってしまうところに、投資信託を販売している金融機関の問題点があるように思えます。証券会社や銀行を通じて多くの投資信託が販売されていますが、その販売スタンスにこそ、今の投資信託業界が抱えている大きな問題点があるのです。

 詳しくは、本書の2章を読んでもらうことにして、改めて長期投資の定義について考えてみましょう。