久賀谷 亮(くがや・あきら)
医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。イェール大学医学部精神神経科卒業。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。現在、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。趣味はトライアスロン。著書に『世界のエリートがやっている最高の休息法』『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』(ダイヤモンド社)がある。

「内面から来る美しさ」も育む

一方、マインドフルネスは脳からその人を変えていきますから、容姿の美しさだけでなく、内面の変化に由来する美容効果(表情や声、行動など)ももちろんあります。美容にはストレスの要素が深く関わっていますので、心の健康を促進することで、外見にポジティブな作用をもたらしていくという発想がとても大切になります。

「メッタ」というマインドフルネスを行うと、オキシトシンが脳内で分泌されるようになったというデータもあります。オキシトシンは、母親が赤ちゃんにおっぱいをあげているときにもよく分泌されることが知られており、人と人の絆を深める働きがあるホルモンです。

アメリカの心理カウンセリングでは、夫婦仲が冷え切ったカップルに対し、「オキシトシン薬を摂りなさい」というアドバイスがされたりもするほどで、「愛情ホルモン」などという呼び名もあるくらいです。

マインドフルネスによってオキシトシン分泌が促進されれば、マンネリ状態になってしまったパートナーにも、やさしい愛情を抱けるようになるかもしれませんし、家族関係にもプラスに働くでしょう。

大半のストレスは身近な人間関係から生まれます。愛情ホルモンを高めることで、人間関係のストレスを軽減し、心身両面から私たちを美しく保ってくれる──そんなすばらしい効果がマインドフルネスには期待できるのです。

次回(明日公開予定)は、もう一度基本に戻って、最もベーシックなマインドフルネスの方法についてご紹介していくことにしましょう。