総選挙直後に明らかになった新しいCMでも、16歳の「新メンバー」が話題を集めました。総選挙で上位を占めたAKB48の中核メンバーを従えて、堂々とセンターポジションを奪ったことがマスコミを賑わしました。さまざまな憶測が意図的に喧伝され、結局そのアイドルはCGで製作した架空の存在だったというオチまでついています。

 AKB48の人気は、2005年のプロジェクト発足以来ずっと持続しています。

 もちろん、在籍するタレントの魅力によるところも大きいと思いますが、ビジネスとしての仕掛けがとてもうまく出来ていることが大きな要因であることは疑いがありません。

 一方で、支援や善意の和などの「運動」は、事が起こった直後こそ一気に関心を集めますが、長期にわたって持続したものはほとんどありません。

 少し前に盛り上がった「タイガーマスク」運動も、全国に広がりましたが、震災に吹き飛ばされてしまった感は否めず、一つのブームだったと言えなくもありません。

 次々に新しいものが登場しては一瞬だけ輝きを放つ。そして、あっという間に収束を迎える。個人の自発的な善意や優しさに頼った活動は、社会的になかなか継続しないのが現状です。こうした運動を持続させるのは難しいのでしょうか。

切実に困っている人は自分に向けられる優しさに涙する
その動機が商業主義であってもまったく気にしない

 少し前、江原啓之さんの「オーラの泉」というテレビ番組が流行りました。ちょうどそのころ、私はある市民運動の団体の集会に呼ばれ、講演でこんな話をしました。

「みなさんはいま、正しいことをしていると思っているでしょうが、世の中の人たちは何に興味を持っているかご存じですか?『オーラの泉』という番組で江原啓之さんがオーラや守護霊が見えると言って、人生のアドバイスを送っているのですよ」

 会場の人たちは、ドッと笑います。しかし、その番組を見たことがある人はほとんどいません。オーラ、守護霊といったものへの胡散臭さから、ばかにしていたのでしょう。