川口市は、6月20日に以下のような施策を発表した。(段落は筆者が変えた。川口市のホームページを参照


                                                                            平成23年6月20日
                                                                                  埼玉県川口市

       放射線に対する川口市保育所・幼小中学校(園)における対応指針

 放射線量について、学校生活に関する基準は、国が年間20ミリシーベルト以内としているが、文部科学省は、1ミリシーベルトを目指すとしている。本市においては、市内10地点の放射線量を継続して計測しており、現状では問題のない数値となっている。しかし、今後、数値が上昇する可能性が無いとは言えず、その時の対応を講じておく必要がある。このことから、国から安全基準が示されるまでの暫定措置として、市独自の基準を定め、本市の幼児、児童生徒に対する放射線対策を講ずることとした。

                 記
1 基準数値
国際放射線防護委員会(ICRP)が定める、年間1ミリシーベルト(自然放射線と医療被曝を除く)に自然界の大地(日本の平均)から放出される放射線量年間0.34ミリシーベルト及び宇宙放射線0.30(日本の平均)を加えた年間1.64ミリシーベルトとする。年間換算を、時間単位に置き換える計算式は次のとおりとする。

 1日24時間の生活を、屋外8時間、屋内16時間とし、屋内は、屋外の数値に0.4を乗じた値とする。上記の設定で1時間当たりを計算した結果、0.31マイクロシーベルト/hとなる。

2 基準を超えた場合の対応
(1)0.31マイクロシーベルト/hを超えた場合、保育所・幼稚園・小中学校の屋外の保育、授業時間を3時間以内とする。(家庭生活も含め、屋外での活動を6時間以内とする)

(2)0.38マイクロシーベルト/hを超えた場合、屋外の保育、授業時間を2時間以内とする。(同様に屋外での活動を4時間以内とする)

(3)このことは、各保育所、幼稚園、小中学校から保護者に伝え、家庭生活においても、外出の時間、マスクの着用等を呼びかける。

3 今後の啓発について
放射線は、受ける量と時間、そこからの距離を注意することにより防護できるので、市民に対し、正しい知識と情報を提供し、冷静に受け止め、各自が日常生活において注意すべき事項を啓発していく。


 0.19≒0.2μSv/hを超えると高いと判断したほうがいい、と書いたが、川口市は、0.31、そして0.38μSv/hを超えた場合の対策も決めている。筆者の知る限り、もっともわかりやすく、合理的な施策だと思う。

 しかし、3月下旬、大量に被曝したことを考えると、さらに、食品による内部被曝の可能性も合わせて考えると、空間線量はやはり0.19≒0.2μSv/hを基準にしたほうがいいと思うが、それでも川口市の施策は多くの自治体の参考となろう。政府広報や新聞の発表記事ではなく、自治体が独自に判断したほうが住民を守れる施策を生み出せる。

 多くの自治体が自分の頭で考えて行動することを願う。

【追記】6月24日18時40分

 千葉県野田市は6月22日に独自の放射線許容量を決めて発表した。6月23日付でホームページに記載している。基準と施策は以下のとおり(筆者の抜粋)。


【保育所における対応について】
  (略)現在実施している、帽子を被る、うがい・手洗い・洗顔の徹底、砂が口に入らないよう注意するなどの対応に加え、念のため、毎時0.3マイクロシーベルトを超えた砂場、すべり台下には、児童が立ち入らないようシートで覆うなどの措置を講じました。また、保育士に個人線量計を持たせ、積算線量を測定することとしました。

【学校における対応について】
幼稚園・小中学校では6月22日(水)に市独自の測定が終了する予定です。この結果を受けて、毎時0.19マイクロシーベルトを超えた学校施設については、念のため、教職員に個人線量計を持たせ、積算線量を測定するとともに、敷地内の測定箇所を増やして測定し、低減策について検討してまいります。


 毎時0.19マイクロシーベルトとは、本文中で計算したように、年間1ミリシーベルトに対応する文科省基準の計数だ。野田市はICRP勧告に準拠した基準を設けたということである。川口市は自然放射線量などを推計して加えたもので、考え方に差はない。

※「福島原発震災――チェルノブイリの教訓」シリーズの過去記事はこちら

(1)チェルノブイリの教訓を生かせ
(2)
子どもの甲状腺被曝検査の継続を
(3)
ソ連政府はどのように収束させたのか
(4)
汚染食品のデータをどう読むか
(5)
「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか
(6)
学校の放射線許容量はなぜ迷走しているのか
(7)
菅首相の「浜岡原発停止要請」は唐突ではない
(8)
足柄のお茶はなぜ汚染されたか 関東平野の放射能汚染状況
(9)
旧ソ連政府は現在の日本政府より住民の安全サイドに立っていた