住宅情報が簡単に手に入るからこそ、
将来まで考えて家を購入する!

 今の日本社会は、私が不動産に携わり始めた20数年前とは様相が全く異なっています。住宅ローン金利はひと昔前の時点ではとても考えられなかった水準まで下げていますし、情報面においてはインターネットが広く普及したことから一般の人でもより多くの情報を簡単に収集できる時代になりました。

 他方で、先進国でもトップクラスの勢いで少子高齢化が進み、老後に対するお金の不安や、高齢者でも働き続ける必要性があるなど、将来を見据えるうえでさまざまな不安要因が増えつつあります。日本人の誰もが将来に対する不安を抱える時代、ますます不透明感が増していく社会、それが今の日本です。

 人口減少が本格的に深まる中で、特に何も備えることなく住宅を購入することは危ない「負」の財産を抱えることにつながりかねません。

 しかし、住宅を購入する際に、「住みやすいかどうか」というのは検討したとしても、「将来、損してしまう家かどうか」ということまで考えて購入する方は少ないでしょう。
 そのような方々に、私が実際に住宅購入コンサルティングで使用しているシミュレーションを知っていただき、損をしない家であるかどうか、簡単かつ一目でわかる資料を紹介したいと思ったことが、この本を書くきっかけでした。

 次回からは、損をしない家選びについて本の中から、いくつかの項目をご紹介しようと思います。

家を買うときには「快適さ」だけでなく<br />何を重視するべき?

松本智治(まつもと・ともはる)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、不動産鑑定事務所、不動産仲介業、戸建て分譲デベロッパーを経て独立、投資用不動産調査や事業用不動産コンサル業務などを行う。
住宅仲介会社では契約取引業務、戸建て分譲デベロッパーでは用地の仕入れから販売まで1000戸以上に関わる。不動産鑑定評価関連では、外資系金融機関(ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行等)からの不動産デゥーデリジェンス(詳細調査業務)なども含めて幅広く関わり、これまでの不動産価格に関する鑑定及び査定実績は大小含め1000件以上。オフィスや店舗賃料に関する「適正賃料マーケット・レポート」の作成にも携わり800件以上の査定実績を有する。仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル建築再開発、賃貸不動産経営、そしてエリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。
一般の住宅購入検討者に対し、購入すべきか賃貸とするか、購入するときの物件選別ポイントなどの住まい購入に関する相談などを受け、偏らないアドバイスが好評を得ている。