「住宅費」は、生きている限り
ずっとかかるもの
親から譲り受けたなど、自宅を持っている人は別として、購入するにしろ、賃貸するにしろ、住宅費は必ずかかります。住むための不動産を購入して住宅ローンを支払うことを一律に「負債」と決めつけてしまっては、本質そのものを見誤ることになります。
私は、その家が本当に負債なのかどうかは、賃貸で住む場合と住宅を購入した場合とで、きちんとそれらの総コストを把握し、そのうえで比較する方法によって判断すべきだと思います。というのも、将来売却するのであれば、それは「資産」として考えることができるからです。
例えば、購入した住宅が、数年、もしくは十数年後に、購入時よりも高く売れるのであれば、月々支払っていたローン返済のお金は貯金していたのと変わりなくなります。
一方で将来、売却するときの価値が、購入時に比べてほとんど価値がなくなっていたとしたら、それはずっと賃貸で住んでいた場合よりも、損をしてしまっている可能性が高いでしょう。
さらに、賃貸支持派の人たちのなかには、先行きの見えない時代に、30年を超えるような長期のローン、つまり借金を背負うことについて否定的な意見もあります。けれども、賃貸にしても、家賃を一生涯払い続けなければならないという金銭不安がつきまといます。住宅ローンの支払いはいつか終わりますが、賃貸で住み続ける場合の支払いはずっと続くのです。
ロバート・キヨサキ氏は、住宅は負債と考えると主張していましたが、資産価値がある家を購入すれば負債とはならない、私はそう考えています。
松本智治(まつもと・ともはる)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、不動産鑑定事務所、不動産仲介業、戸建て分譲デベロッパーを経て独立、投資用不動産調査や事業用不動産コンサル業務などを行う。
住宅仲介会社では契約取引業務、戸建て分譲デベロッパーでは用地の仕入れから販売まで1000戸以上に関わる。不動産鑑定評価関連では、外資系金融機関(ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行等)からの不動産デゥーデリジェンス(詳細調査業務)なども含めて幅広く関わり、これまでの不動産価格に関する鑑定及び査定実績は大小含め1000件以上。オフィスや店舗賃料に関する「適正賃料マーケット・レポート」の作成にも携わり800件以上の査定実績を有する。仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル建築再開発、賃貸不動産経営、そしてエリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。
一般の住宅購入検討者に対し、購入すべきか賃貸とするか、購入するときの物件選別ポイントなどの住まい購入に関する相談などを受け、偏らないアドバイスが好評を得ている。