人口約2400万の台湾で『嫌われる勇気』が46.2万部と大ブレイクしています(『幸せになる勇気』も10.5万部)。人口比で言うと日本の250万部に当たるこれほどのベストセラーは彼の地では10年ぶりとのこと。そんな最中の5月中旬、著者の岸見一郎氏と古賀史健氏が台北を訪れ、数多くのメディア取材やイベントを行なってきました。現地での様子や、日韓との読者の違いなどをお二人にお聞きします!
親との関係を気にする台湾の若者
──まずは、今回の台湾プロモーション全体の感想を聞かせていただけますか?
岸見一郎(以下、岸見) 本当に歓迎していただき、満ち足りた3日間でした。台湾の皆さんは、『嫌われる勇気』およびアドラー心理学から非常に強いインパクトを受けたようです。それゆえ、私たちが来るのを待ちかねていた様子で、聞きたいことがたくさんある、早く著者たちに会いたいと、そんな雰囲気を非常に強く感じました。
古賀史健(以下、古賀) まず、台湾版の版元である圓神出版の皆さんがとても日本通で、本もしっかり読んでくれていて、この本を凄く愛してくれていることが伝わってきて嬉しかったですね。あと、取材やイベントの際の質問では、アドラー心理学に対する学術的な関心が高かったように思います。いろいろな疑問があるなかで、岸見先生が来るのを待ち望んでいたという印象を強く受けました。
──台湾ではサイン会などで読者の皆さんとも直接触れ合いましたが、日本や韓国の読者と比較していかがでしたか?
岸見 韓国での印象とかなり近いと思いました。いずれも、恩を重んじるとか、親の言うことが絶対だという伝統的な倫理観・道徳観をもっています。アドラー心理学はそれとは真逆の考えではないか、課題の分離を実践すると伝統的な倫理や道徳に反するのではないか、そんな思いを抱いている人がたくさんいた感じです。とくに、多くの若者が親の問題を気にしていることが印象的でしたね。日本の若者が親のことを考えないわけではないでしょうが、親と考えがぶつかったときはもっと自分を主張する傾向が強い気がします。
──たしかに、日本の若者から親の話が真っ先に出てくることはあまりないですね。それよりも自分の人生とか、職場での人間関係に関する悩みが多いと思います。
岸見 親を悲しませたくない、親不孝をしたくないということが若い人の口から出てくるのは、台湾、韓国の特徴といえるかもしれません。