新刊効率よく短期集中で覚えられる7日間勉強法は、東大を独学で現役合格し、年間50以上、累計500超の資格を取得してわかった超合理的な方法を網羅しています。「時間をかけずに短期集中で勉強し、しっかり結果を出せる」――それが、「7日間勉強法」。どんな勉強にも応用できる、この短期集中のサイクルを一部抜粋して紹介していきます。

×肢はなぜ
×になっているのかを見る

 問題集の問題・解答・解説を見るときは、基本的に次のような順番で見ていきます。

(1)解答
 まず、○×や正解選択肢の番号を見ます。

(2)解説チラ見
 過去問をざっくりレビューしたときのようなイメージで、さらっと解説を一通り読みます。解説文中のキーワード、×肢の間違っている箇所などが太字になっていることが多いので、そこを軽くチェックしておきましょう。

(3)問題文
 軽くチェックした解説を意識しつつ、問題文を読みます。

(4)解説熟読
 最後に解説をじっくり読んでいきます。解答が○の場合、解説文にはそれほど詳しい情報は載っていません。ただ、問題文をそのまま正しい記述として覚えるだけです。

 むしろ注目したいのは、解答が×の場合です。どこがどう間違って×になっているのかというポイントをおさえたうえで、問題文と解説を読み込むようにします。

 この、正しい文章から改変されているポイントは、重要なところであり、問題になりやすいところです。また、多くの受験者が間違えるところでもあります。裏を返せば、重要だからこそ問題にされているのであり、間違えやすいからこそ「落とすための問題」としてつくられているわけです。

×になるパターンを知ろう

 全試験範囲のなかで最も重要なのは「過去問」ですが、その過去問のなかのさらに重要なエッセンスがこの「×になっているポイント」です。ここは、確実におさえておきましょう。

 パターンとしては、たとえば次のようなものが挙げられます。

・文章中のワードが別のワードに入れ替えられている
・文章中、正しくは「未満」であるべき箇所が「以下」になっている
・「○○しなければならない」となるべき箇所が「◯◯すればよい」となっている

 このように、正しい記述からひねられている箇所が、試験で問われる重要なところといえます。

 また、これらの「×肢」にも通じますが、いわゆる「ダミー選択肢」も、試験攻略情報の宝庫です。ダミー選択肢とは、「◯◯に当てはまるものを選べ」という問題における、誤りの選択肢のことです。正解肢ではなく、ダミーのほうを間違って選ばせるために周到につくられているため、その内容やつくり方を見ていくことで、逆に合格のヒントがつかめるのです。

 ダミー選択肢の例を挙げてみましょう。

〈社会保険労務士 選択式 平成24年 厚生年金保険法〉
厚生年金基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基づいて、【E】が裁定する。
E (1)企業年金連合会 (2)厚生年金基金 (3)厚生労働大臣 (4)日本年金機構

(正解は(2))

「許可」や「承認」「裁定」などの主体となる公的機関や、「申請」などの届出先の公的機関を問う問題は、いろいろな試験の法規の科目でよく出てくるのですが、想像以上にさまざまな公的機関名が登場するので紛らわしく、また混同しやすいのです。

 この問題のダミーで並んでいるほかの選択肢は、まさにこの「よく似た紛らわしいワード」なので、「(1)(3)(4)ではなく(2)なんだ」としっかり意識して覚えるようにすることが必要です。そこを意識していないと記憶があやふやになり、いざ問われたときに自信をもって選ぶことができなくなってしまいます。

 また、先ほどの問題は穴埋めタイプですが、アレンジされて「(前略)に基づいて、厚生労働大臣が裁定する。○か×か」という正誤判定タイプの問題として出題される可能性もあります。穴埋め問題のダミー選択肢から、「正誤判定タイプの問題でここをこう置き換えて×になっている文章が出題されるのでは?」という予想もある程度つくようになります。

【参考文献】
『2016年版 ナンバーワン社労士 過去10年本試験問題集4 国民年金法・厚生年金保険法』
TAC株式会社(社会保険労務士講座)編著、TAC株式会社出版事業部