新刊『効率よく短期集中で覚えられる7日間勉強法』は、東大を独学で現役合格し、年間50以上、累計500超の資格を取得してわかった超合理的な方法を網羅しています。「時間をかけずに短期集中で勉強し、しっかり結果を出せる」――それが、「7日間勉強法」。どんな勉強にも応用できる、この短期集中のサイクルを一部抜粋して紹介していきます。
「えーっ!?」と驚く箇所を
重点的にやる
勉強をしていると、自分の想像や今までの常識とは違い、「えーっ、そうだったんだ!?」と驚くような箇所が出てくることがあります。そのように思うということは、イコール、わかっていないということです。そういう箇所には、連載第6回で話したように、緑色の付箋をつけておき、重点的に勉強してどんどんつぶしていくようにします。
どのようなケースを指すのか、一例を挙げてみましょう。
小笠原諸島に、「南鳥島」という島があります。「南」という字がついているので、「日本最南端の島」と思い込む人もいますが、正しくは、「南鳥島」は日本最東端の島。ちなみに、最南端の島は「沖ノ鳥島」です。
引っかけ問題に用心する
繰り返しになりますが、試験勉強とは、「自分の今の力量・知識量」と「合格ライン」のギャップを埋めていく作業です。自分の思い込みで間違った理解をしている箇所こそ、まさにそのギャップですから、そこを優先的に埋めていくようにしましょう。
なかには、「自分の考えでは絶対こうであるはずだ」と思えるような場合もあるかもしれません。たとえば、カラーコーディネーター検定の配色の問題など、正解の根拠がわかりづらい試験では自分の好みやセンスを主張してしまいたくなることもありますが、試験に合格するためには作問者・採点者の求める解答を優先するべきなのです。
また、多くの人が「えーっ、そうなの!?」と思ってしまう箇所というのは、事実とは違う理解・認識をしている箇所であり、そういう箇所は、「引っかけ問題」として出題される可能性が高いのです。作問者側からすれば、「間違えやすい問題」をつくりやすい箇所ということです。「ここは自分に限らず、ほとんどの人が誤解しているのでは」と思えるような箇所こそ、とくに注意して覚えるようにしましょう。
ところで、難しい問題というと、「マニアックな、誰も知らないような知識を問われる問題」「非常に複雑な知識や考え方が必要とされる問題」を思い浮かべてしまいますが、「明らかに正解はAだと思われるのに、実はBが正解である」というような引っかけ問題のほうが難しく、やっかいです。
例を挙げてみましょう。
〈世界遺産検定 1級 2010年7月 問題5〉
ユネスコはMAB計画に基づき、加盟国には、国内に「生物圏保存地域」を設けることを求めている。日本は生物圏保存地域を4件設けているが、そのうち2件は世界遺産に登録されている地域を含んでいる。それは「屋久島」ともうひとつはどこか選びなさい。
(1)知床 (2)日光の社寺 (3)白神山地 (4)紀伊山地の霊場と参詣道
「生物圏保存地域」という言葉から、多くの受験者は自然遺産である「知床」か「白神山地」かで迷ったのではないかと想像されるのですが、実は正解は、自然遺産ではなく文化遺産である「紀伊山地の霊場と参詣道」でした。その構成資産である大峯山を含む「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」が日本の生物圏保存地域として登録されているのがその理由です。
世界遺産検定は、公式過去問題集で全問題の正答率が公表されており、20%を下回る問題は珍しいのですが、この問題の正答率は6.4%というきわめて低い結果になっています。
いかにも引っかけだと思うような選択肢が一つだけあからさまに存在しているのではなく、「(1)か(3)だろうけど、どっちだ?」と考えてしまう問題になっているため、ほとんどの人は早い段階であっさりと(4)を検討対象から外してしまったのでしょう。
多くの人が勘で答えるしかないような難問は答えがばらけるので、正答率は四択問題だと25%程度に落ちつきますが、この世界遺産検定のような問題だと、多くの人が間違った選択肢を選んでしまうため、正答率は1桁になってしまうこともあります。このように、「えーっ!?」となる「引っかけ問題」は要注意ポイントであると同時に攻略情報の宝庫でもあるので、重点的に取り組みたいところです。
【参考文献】
『世界遺産検定公式過去問題集 2010年7月[2級・1級]/2009年6月[1級]編』世界遺
産検定事務局編著、世界遺産アカデミー監修、毎日コミュニケーションズ