「戦わずして敗れた」僕に対し、
クラスメートが仕掛けたサプライズ

 次の朝、セクション・オリンピックに出られなかった僕は珍しくテンションがとても低かった。

 皆も気遣ってくれて「おはよう」と挨拶はするもの誰もツィンキーの話は持ち出さなかった。その優しさが嬉しかったが、何だか少し寂しくもあった。一時間目の授業は低いテンションで終わり、気持ちが入らなかった。

 どうにも気が晴れない僕はトイレに行こうとしたその時、

「みんな聞いてくれ!」スポーツ委員のケビンが大声を張り上げた。

「昨日のセクション・オリンピックで、ものすごい練習を積んだのに競技に出られなかった奴がいる!」

 皆、いるーいるーと大はしゃぎだ。ぎゃはははと笑う者も。

 歓声があがる教室の中、僕はセクションメイトから一番前まで連れられてきた。どうやら皆で示し合わせていたようだ。

――なにが始まる?

「ということで、これからそいつのために早食いコンテストを開くこととした!」とケビンが大声を。

――え!?

 そこへベネズエラ人のソロモンがガガガガっと台を押してきた。

 そこには何とツィンキーの山が!

「では、これからNORIがどれだけ早く食えるかやってみよう!」とケビンが叫ぶと教室は嬌声のるつぼに。
 「マジですか?」
 「そうだよ、頼むぜ、大食いチャンプ!」

 どうやら本気らしい。

「……いや、マジでやるなら、タオルと水がいるんだけど、、、」

 戸惑いつつもそう言ったところに、「はい!」と後ろから声が。

 それは親友メキシコ人のカルロスに連れられて教室まで来ていた私の妻だった。

 手にはタオルと水を持っていた。

「よっしゃー、じゃあ、食べるぞ~!!」

 そんな優しくも熱い仲間に囲まれて僕だけのツィンキー大食いコンテストが行われたのだ。そのささやかな競技でもちろん僕は優勝させてもらった。

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【著者】児玉教仁
1972年生まれ。静岡県出身。清水東高校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ1992年に初渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を卒業。1997年三菱商事株式会社へ入社。2004年ハーバード・ビジネス・スクール入学。06年ハーバードMBA取得後、三菱商事に帰任。2011年同社を退社、国際社会で活躍できる人材の育成を目指したベンチャー企業、グローバルアストロラインズ株式会社を立ち上げる。本書が初めての著書。