僕がインターシップを蹴って挑戦した
バッファローウィングとはどんな料理か?

 バッファローウィング。

 聞いたことがない方も多いかもしれないが、それはアメリカで生まれた究極のジャンクフードのこと。ハンバーガーやらホットドックやらナチョスやら、ジャンクフード王国とも呼べるアメリカの中で、最もアウトローで危険なほど熱狂的なファンがついている最終兵器的なジャンク中のジャンク、それがバッファローウィングという食べ物なのである。

 それはとてもシンプルで、鳥肉の手羽先を揚げ、甘辛いソースで和えたものだ。

 そんなジャンクフードの調理選手権に大事な夏休みをかける僕。

 でも、それは当たり前といえば当たり前のことだった。

 ここまでのシリーズで紹介してきたこの学校の素顔。あたかも利己的な冷血エリートが集う学校かと思いきや、実はそれとは真逆の、とても熱く人間臭い奴らが小学生のように全身全霊でお互いぶつかりあう究極の学び舎だった。

 そして、そう、この学校の本当の強みは、例のケーススタディーといった勉強方法でも、その数十億ドルを資金運用しているほどの財務基盤でも、はたまた一流ホテルを思わせるような建物でもなく、この学校の熱さ、そしてこの学校を支配し続けている哲学なのであった。

「ぐちゃぐちゃ言ってないで、リスクをとって何かにチャレンジしなさい」。これがハーバード・ビジネススクールの哲学だ

 その哲学とは一言で言ってしまえば、「ぐちゃぐちゃ言ってないで、リスクをとって、何かにチャレンジしなさい」という、夢と希望と勇気と情熱に満ちたもの。

 エリートなんだから現在の「システム」を利用してその仕組みの中で上手に無難に出世していきなさい、ということとは真逆の「何かを変えなければ意味がない。だからこの学校で、いろいろなことを教えよう。そして、それを身につけて羽ばたくときがきたら、リスクを取って新しいことをやりなさい。既存の仕組みをぶっ壊しなさい。世界に影響を与えなさい」

 そんなまっすぐで勇敢な哲学が、この学校を支配し、全員がそれを真剣に信じている。それがこの学校の最大の強みなのでは、と感じていた。

「大企業の出世階段を上ろうなんて安易なことは考えるな」と教わった。

「毎朝鏡を見て、げんなりする日が続いたら、ドキドキ、ワクワクしていない自分を見る日が続いたら考え直して、心がときめくことをやれ」とも教わった。

「リスクをとってチャレンジしない人生を送ることこそ、年をとってから後悔するという、人生最大のリスクを背負っているんだ」とも教わった。