ソーシャルメディアは無縁社会の架け橋となりうるか?
かつて福沢諭吉は「ソサエティ(Society)」という英語を「社会」ではなく、「人間交際」と翻訳しました。社会というと堅く動かない固定されたものという印象を与えますが、人間交際となると柔らかく変化する人々の自由な交わりを想像させます。
ソーシャルを「社会」と訳せば、ソーシャルメディアは「社会的メディア」となり、やはり生真面目で退屈な印象となります。これを「人間交際メディア」、または社会よりはもう少し楽しげな言葉である「社交的メディア」と訳してみれば、ソサエティは私たちの交際や社交の力で変化させることができるものだという気持ちになってきます。
いま蔓延する、自分と社会は無縁であると感じる諦観は、ネットワークゲームの世界だけの話ではありません。
宮台真司氏が「仲間以外はみな風景」と表現したように、限られた小さな仲間内のグループで固まり、社会との接触が薄くなっていく現象は、私たちの生活のあらゆるところで見られます。
むしろ大半の人々が、このシステム化していく世界の片隅で、自分が社会から求められることなどないかもしれないという疑念を抱えて生きているのではないでしょうか。「誰も僕を受け入れてくれないんだ」と叫んだエヴァンゲリオンの主人公、碇シンジを笑うことは、それほど簡単なことではないのかもしれません。
次回、この繭化の問題を解決するための方策について考察を進めていきたいと思います。
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序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界