マイホームは「買い時ではない」。しかし…

 日本の住宅市場は、歴史的な転換期を迎えている。適正水準はせいぜい50万戸程度ではないだろうか。新築住宅中心の住宅市場は名実ともに終焉し、中古住宅と賃貸住宅が台頭する

 中古住宅市場は現在の数倍の規模に膨らみ、リフォーム市場はその内訳を変化させながら市場規模を拡大させていく。賃貸住宅は市場整備次第だが、民間による魅力的な賃貸住宅がますます増加するだろう。一方で、賃料下落が止まらない、止められない物件もある。

 

「いつかは新築住宅を」といったヒエラルキーも崩壊だ。中古住宅派や一生賃貸派が増える。

 同時に住宅業界でも人材の淘汰とシフトが起こり、X年後の住宅市場は現在とは全く違った姿となっているだろう。

 たったいま「マイホームは買い時ですか」という質問に答えるなら、少なくとも経済合理性、損得勘定だけでいえば「買い時ではない」という回答になる。

 ただし、立地や建物を吟味した場合は別だ。これから日本の住宅市場は、以前に書いた通り、相変わらず価値が落ち続ける多くの住宅と、価値が落ちない、落ちづらい住宅とに2極分化していくことが規定路線だからだ。