「文章が苦手。書いている時間がツラい。メールも企画書もできれば書きたくない…」
「最初の1行を書き出すまでに、ものすごく時間がかかる…」
「文章がうまく伝わらない。しゃべって伝えることはできるのに…」
「書き直しを何度も命じられて、いつまで経っても書き終わらない…」
「数千字のレポートなどは、文字が埋まらなくて苦痛だ…」

そうした文章を書く人の悩みを全て解決する注目の新刊『10倍速く書ける 超スピード文章術』が、発売間もなく重版が決まるなど、大きな話題を呼んでいる。

今回は、あらゆる文章に応用できる、「わかりにくさ」を消すメソッドをお伝えする。

なぜ、小学生の作文は「幼稚」なのか?

あなたは、なぜ小学生の作文が「幼稚」に感じるのか、説明できますか。

「文章力が未熟だからでしょ」

それはそうかもしれませんが、「文章の幼稚さ」の理由は、もっと明確に説明できます。
次の文章は、おそらく多くの人が「幼稚だ」と感じるでしょう。

「今日、遠足で太郎君と一緒にお弁当を食べました。楽しかったです」
「天気がよくなったのでプールに入って、うれしかったです」
「図工の時間に、紙の怪獣を作っておもしろかったです」

幼稚さの元凶となっているフレーズは、「楽しかった」「うれしかった」「おもしろかった」です。
そして、これらはすべて「形容詞」です。

形容詞は、その多くが、書き手が経験したことを通して抱いた「感情」や「感動」です。
しかし、文章の読み手は、書き手と同じ経験をすることはできません
形容詞だけを書いても、何に感動したのかが伝わらないのです。

だからこそ、書かなくてはいけないことは、「何が楽しかったのか」「何がうれしかったのか」「何がおもしろかったのか」の理由です。つまり、「素材」です。

(※『超スピード文章術』で定義しているビジネス文章の「素材」とは、「独自の事実」、「エピソード」、「数字」。つまり、読み手に「これを伝えたい」と思う内容そのものを指します)

「お弁当を食べたら、おにぎりが1つこぼれて、草むらをどんどん転がっていった。楽しかった」
「ずっと風邪をひいていて、昨日、今年初めて大好きなプールに入れた。ひんやりして気持ちよかった。うれしかった」
「図工の時間に僕が作った怪獣と、太郎君が作った怪獣を戦わせたら、僕が負けてしまった。でも、おもしろかった」

このように形容詞を素材で具体化してあげるだけで、子どもの作文は、ぐっと「上手」になります。素材を書くことで初めて、読み手は、何が「楽しかった」のか、「うれしかった」のか、「おもしろかった」のかを感じることができるのです。

形容詞だけでは、読み手は「何に感動したか」がわからない。
その明らかな「欠陥」をそのままにしているから、幼稚に見えてしまうのです。

ビジネス書のトップライターは、なぜ「形容詞」を使わないのか?ビジネス上の文章に「表現」は要らない

私は、書き手としてのキャリアを人材広告のコピーライティングから始めました。新人コピーライターの誰もがやってしまいがちな人材募集キャッチコピーの代表例があります。

「当社は、とてもいい会社です」

コピーライターになったとき、真っ先に当時の上司に言われたのが、「わかるようで、よくわからない言葉を使うな」ということでした。「いい会社」というのは、その典型例です。

たしかに、その会社は「いい会社」なのかもしれません。
でも、これでは人は動かないでしょう。何も伝わらないからです。
では、何を書かなければいけないのか?

「5年間、社員が一人も辞めていない会社」
「有給休暇を毎年全員が100%消化している会社」
「社長が年度末に金一封をくれる会社」

読者が知りたいのは、そうした「具体的な事実」です。「いい会社」というのは、そんな魅力的な素材を、書き手が形容詞を使って無理やりまとめてしまった「表現」です。

「素材」を「表現」にまとめようとすると、抽象的になる。
抽象的な表現は、読み手に伝わりにくいのです。