新刊『心に届く話し方 65のルール』では、元NHKアナウンサー・松本和也が、話し方・聞き方に悩むふつうの方々に向けて、放送現場で培ってきた「伝わるノウハウ」を細かくかみ砕いて解説しています。
今回の連載で著者がお伝えするのは、「自分をよく見せることを第一に考える話し方」ではなく、「聞いている人にとっての心地よさを第一に考える」話し方です。本連載では、一部抜粋して紹介していきます。

あの人の話し方は、なぜ耳ざわりに感じるのか?!

「必要のない口癖、動き」をチェックしてみよう

 プレゼンテーションなど比較的難しい話を理解してもらうのにあたって、特に気をつけるべきポイントがあります。それは、あなたの話を理解するのに邪魔になるような情報(今後はノイズと言います)を出さないようにすることです。どんなノイズがあるかあげていきましょう。

 まず聞いていて理解するのに邪魔になるのは、「言わなくてもいい口癖」です。代表的な口癖といえば、話し始めのときに言いがちな「え~」ですよね。この「え~」はいつも悪いというわけではありません。じっくり考えている場合や、聞いている人のことを考えてしっかり間をとるために言うなど「意味を持った」場合でしたら、それほど気にならないものです。

 耳障りになるのは、「特に意味を持たないことば」。あるいは、「そうした同じことばを連発する」場合です。つまり、何の考えもなく「無意識で」「頻繁に」言ってしまっていることばが「ノイズ」になるのです。

 そんなノイズになる口癖にもいろいろな種類があります。タイプ別に例をあげてみましょう。ご自身で言っているものはないかチェックしてみてくださいね。

(1)「話し始めに言ってしまうもの(特に意味を持たないもの)」
「え~」「え~と」「え(小さい声で短く)」「あ~」「あの~」「ま~」「だから(ですから)」「しかし」「そうですね~」「それで」

(2)「話の流れを変えたり、主導権を握るために使いがちなもの」
「つまりぃ~」「要するに~」「やっぱり(やっぱ)」「逆に」「本質的に」「根本的に」「基
本的に」「そもそも」「ていうか~」「ちなみに~」

(3)「語尾に使いがちなもの」
「~ですね」「~まして」「~、うん」「~ですが」「~かね」「~ね」「~したいと(思います)」「~したいなと(思います)」「~というふうに(思います)」
「~けれども(けども)※逆説の意味はなし」「~になります(こちらコーヒーになりま
す)」

(4)「あいまいに言いたいとき・責任を負いたくないときに使いがちなもの」
(文章の冒頭で)「ある種」「ある意味」「なんと言いますか~」「なんか~」
(文章の最後に)「~みたいな、」「~的な、」「~かな、と」「~のほう(ご注文のほうよろ
しいでしょうか?)」「~てな感じで、」「~とか、」

(5)「修飾語句」
「ちょっと…」「かなり…」「すごい…」「やばい…」「絶対…」「ほぼほぼ…」

(6)「相づち」
「うん」「うんうん」「え~」「はいはいはい」「なるほど」「なるほどですね」

 私が、多くの人の話し方を聞いていて気になったものをざっとあげてみました。まだまだあると思います。「ああ、こういう言い方している人いるよね~」って思いましたか?ご自分で思っている以上に口癖ってあるものですよ~。