もう一つ忘れがちなのが、見た目のノイズです。服装や身だしなみがあまりに特徴的だとそちらが気になって話が耳に入ってきません。同様にマイクの持ち方がロックボーカリストのように肘をあげたり、マイクの持ち手の部分を口の位置よりあげてしまっていたりしていませんか? マイクヘッドの部分を握りこんだりしていても、やはり見ているほうは違和感を持ってしまいます。

 また、やたら、話しながら手を動かす人がいます。重要なところだけ、自然に手が動くのはいいと思いますが、それも度がすぎると、その動きが気になってどこが重要なポイントかがわかりにくくなって、逆効果になる場合もあるので注意が必要です。

 実は、こうした、話を理解するのに邪魔になる様々なノイズは、自分ではなかなか気づくことができません。そこでおすすめなのが、会社や学校などの同僚の方で辛口の意見を言ってくれそうな人を見つけ、聞いていてノイズになりそうな癖について片っ端から指摘してもらう方法です。

 もしそうした方がいない、あるいは指摘してもらうのは恥ずかしいという方は、ご自分で自分の話す様子をスマートフォンなどで「録音・録画」してチェックするという方法もあります。最初は自分の声そのものが気になるかもしれませんが、慣れてくると自分の話し癖が冷静に聞き取れるようになってきます。最初はいろんなところが気になると思いますが、まずは直す口癖を一つ、例えば「よし、今日は、~したいと思います、を言わないぞ」くらいで結構です。完璧にゼロにできなくても構いません。少しでもノイズが減れば上等というくらいの気持ちで続けるようにしてくださいね。


* 心に届く話し方ルール *

冒頭、語尾、相づちなど
「言わなくてもいい口癖」をチェックする

松本和也(まつもと・かずや)
スピーチコンサルタント・ナレーター。1967年兵庫県神戸市生まれ。私立灘高校、京都大学経済学部を卒業後、1991年NHKにアナウンサーとして入局。奈良・福井の各放送局を経て、1999年から2012年まで東京アナウンス室勤務。2016年6月退職。7月から株式会社マツモトメソッド代表取締役。
アナウンサー時代の主な担当番組は、「英語でしゃべらナイト」司会(2001~2007)、「NHK紅白歌合戦」総合司会(2007、2008)、「NHKのど自慢」司会(2010~2011)、「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」「NHKスペシャル」「大河ドラマ・木曜時代劇」等のナレーター、「シドニーパラリンピック開閉会式」実況など。
現在は、主に企業のエグゼクィブをクライアントにしたスピーチ・トレーニングや話し方の講演を行っている。
写真/榊智朗