高学歴、美人、仕事ができる女性が
陥りがちな罠
藤原:『30代を後悔しない50のリスト』に書かれている「結婚すればよかった」ってケースは、40代を超えても結婚しなかった人たちの後悔ですね。30代のときに決断しないで、「ああ、この人は正解じゃない、これも正解じゃない」と見送り続けてきた人たちだと思うけど、大塚さんから見て、彼らが正解を追い求めている感じってありますか?
大塚:そうですね。最初から結婚しない主義というのは別ですが、結婚したかったけど結婚しなかったという人に共通するのは、それなりに相手はいたけど、「決めきれなかった」という後悔だと思います。
藤原:ということは、前編で話した、結婚と住宅購入の違いの話と同じですね。経済的な制限がないから、夢を追いかけてしまうっていう。そうすると、何によって決断をするかっていうことになりますよね。
大塚:ええ。40代の女性に限っていえば、共通している特徴というのは、「高学歴、美人、仕事ができる」という点が挙げられます。20代・30代でがんばって男性と肩を並べてやってくると、どんどん仕事ができるようにもなるから、仕事に強くやりがいを感じておもしろくなるんですよね。
恋愛に関しては、ちゃんと相手もいて、いろいろと付き合ったり別れたりもしているようですが、過去に必ず結婚の話が持ち上がるときがあるようです。これがだいたい20代後半、29歳とか28歳とかですね。でも別れてしまう。けれど、次にまた結婚話が持ち上がるときが来るんですよ、30代前半で。それが32歳とか33歳らしいです。どちらの時期も、「結婚しようかな、どうしようかな」と迷って揺れるんです。
ところが、踏み切らないんですね。踏み切らない理由で多いのは、実は、もっといい人がいるかもしれないということじゃなくて、仕事と結婚を天秤にかけているということです。いまは、結婚しても女性は家に入るという時代ではないですが、独身のように働くことができるのかという不安は持ちますよね。
藤原:なるほど。働きはじめて10年ともなれば、仕事もドンドンおもしろくなってくる時期だし。
大塚:そうです。ある程度権限を持つことで、やれる自由も増えてくる。それで、ふっと気づいたときが、40歳前後みたいですね。仕事がおもしろいので、結婚や恋愛が後回しになってしまったという感じのようです。
藤原:それは無理もないですね。やっと自分が仕事のリーダーシップを、イニシアティブをとれる年まわりになったとなれば嬉しいし、後回しにもなっちゃいますよね。よほど病気かなにかで弱気になったり、あるいは大地震が起こって、やっぱりひとりでは不安だってことにならないと、結婚には目が向かない。まさに、それがいま被災地で結婚が増えている理由だけれど。
大塚:ええ、そうみたいですね。そういう人に限って、アラフォーを迎えて、たとえば軽いうつにかかったりとか、パニック障害になったりとか、身体も端境期でしょう。身体が弱くなったり、抵抗力なくなったりして、はたと立ち止まって気づくみたいですね。あれ、まだ結婚してなかったって。それが後悔につながるんだと思うんですよね。
藤原:そうそう、それだと思うんですよ。東北で起こっている結婚の増加もそうなんですけど、ひとりになるという恐怖を抱かないと、高学歴、美人、仕事ができるなんて、三拍子揃った人は、結婚しようという気になかなかなれない。
大塚:おっしゃるとおりだと思います。そういう人に限って、納得解を求めようとしませんからね。この場合は、けっして夢を追い求めていたというわけではないですが、正解を求めていたとは言えますね。自分のなかで正解が見つかるまで待っていたうちに、いつの間にか結婚のタイミングを逃してしまった。
けれど、正解の結婚なんてないわけですから、正しいタイミングなんてないんですよね。どこで自分なりの納得解を見つけられるか、というのが結婚を決める上では重要なんだと思います。それが、体調を崩して不安を感じたということでも全然問題ないわけです。自分が納得したタイミングを意識することが必要ですね。