岡島 まさにハーバード・ビジネススクールのリンダ・ヒル教授が提唱する「逆転のリーダーシップ」です。顧客にもっとも近い現場の最前線の人たちが専門性を駆使してチームで顧客インサイトを探り、その情報を組織が取り込んでサービスを創り、意思決定者であるリーダーがその実現を支援する、という「集団天才」モデルです。

平井 職位でなくて役割分担という意識を持つということは、フラット化ということですね。BCGDVもそうですが、世界的にも組織のフラット化は進んでいますよね。

今日からできる
フラット化のコツ

岡島 ホラクラシー経営のように、役職をなくすと変革は進みやすい。企業によっては、役職以外に年次ヒエラルキーがあったりする。エレベーターで一緒になると年次の高い順から完全に統制されて整然と降りていくというのは、一種異様な光景でしょう。

 私が経営の相談を受けた会社でまず最初に提案する、すぐにできるフラット化の試みは「さん付け運動」です。「役職名で呼ぶのは禁止。下の名前にちゃん付け禁止、君付け禁止」。これだけでも劇的に変わります。呼び方は意外に重要で、無意識のうちに序列がすり込まれ、それが文化となってしまうのです。社員同士、さん付けで呼ぶようにすれば、職位や年次が関係なくなり、下克上もしやすくなる。

 まずは文化と人事制度を改革し、そのあと報酬制度もそれに準じて変えていくというのがいいでしょうね。ただし報酬制度をいじるにはやはり少し時間が必要です。

社長の給料が安すぎる
社長の任期が短すぎる

平井 なぜ多くの会社でトップ主導の変革がなかなかできないかというと、社長の報酬が低すぎるのと、任期が短すぎるのが原因ではないかと僕は思うんです。グローバル企業のCEOは日本企業の社長の報酬を聞いて仰天しますよね。たとえば日本の大手企業の社長の報酬の多くは数千万程度。一方、グローバル企業では数億もらうのも珍しくない。雇われ社長だし、社長を1期2年なり2期4年なり、つつがなく務めて、あとは子会社に出向するのが前提ということもあるのですが、それにしても安すぎる。数千万円でしかも数年の任期では、リスクを取って大胆な改革をしようとはならないのも無理はないですよ。