プレゼン、会議、打ち合わせに効果抜群! 仕事に効く「図の使い方」。
企業研修、ワークショップの実績多数! ニューズピックスのクリエイティブ統括者であり、どんなものでも「図」にする図解オタクの櫻田氏の新刊、『図で考える。シンプルになる。』が発売! 発売4日で重版も決まり、話題になっている。
WIRED、ハフィントンポストといったメディアからのデザイン依頼に加え、コンサルティングファームや広告代理店で「図解思考」「デザイン×図解」などのテーマで研修をこなす本格派は何を語るのか。その秘伝の秘を、本連載ではあますところなくお伝えします。(構成:中村明博)
ニューズピックス インフォグラフィックエディター。仕事に必要な知識を身につける過程で、「モノゴトを深く理解したい」という欲求を持つようになり、そこから本やテレビ番組の要約を「1枚の図」にまとめる習慣が生まれる。作り上げた図を、自分の個人サイト「ビジュアルシンキング」にアップしたところ、従来の図解にデザインの考え方を反映させた手法が話題になる。
わかりやすくて、
美しい図の作り方
図は、「本質的には理解のための道具である」というスタンスで連載を続けてきました。しかしもちろん、図の可能性はそれだけではありません。
まとめた内容を図で人に伝えることもできます。
図は伝達の道具でもあるのです。
そのとき気をつけるのはどんな点でしょうか。一番もったいないのは、伝達の際にあれこれ情報を加えることです。図で整理整頓された思考が、思考前のような複雑な状態に戻ってしまいます。必要なのは、さらに洗練させることです。
図の見た目を洗練させるとは、ポイントをより際立たせて、視覚で捉えやすくすることです。それには下記の5つの要素を理解する必要があります。
(1)サイズ
サイズには「大小」「同じ」の2パターンがあります。下図を見てください。
一番左の大きい円が真っ先に目に入ってきます。一番右の小さい円は存在感も小さく感じられます。
サイズが同じだと、3つの要素すべてが同じ価値を持つものだとわかります。下図を見てください。
この感じ方の違いを図に反映することで、よりメッセージが伝わるようになります。
(2)形
サイズ同様、人は形の違いでモノゴトを区別しています。下図は、四角と矢印だけで構成されています。
四角で表現している「社員」「会社」「株主」のうち、「社員」「株主」を円に変えてみます。下図を見てください。
こうすることで、個人である「社員」「株主」と、組織である「会社」とを区別できました。形を変えることで、違いを示すことができるのです。
(3)色
サイズや形以上に違いがはっきりするのが色です。薄いより濃いほうが存在感があり、さらに目立つ色にすればより存在感が際立ちます。
例えば、重要なところに色を使うようにすると、図を見た人はそこが大事だと意識します。下図を見てください。
しかし、色をたくさん使えばいいというわけではありません。色の数を増やしてしまうと、反対に複雑な図になってしまいます。モノクロの濃淡+1色を目安にしましょう。
(4)線
線の太さを変えることで、つながりの強さや、存在感を示すことができます。下図を見てください。四角と矢印の線の太さが違いますね。
会社の存在が強大で、社員からは「能力・時間」、株主からは「資金」を多く得ている、という印象を与えています。
(5)距離
人は近くにあるものを関係が近いと感じ、遠くにあるものを疎遠だと認識します。
距離にも意味を込めることで、伝えたいことがより明確になります。
いかがでしたでしょうか。これら5つの要素を意識することで、シンプルで美しい図が書けるようになります。