「企業の情報」より「自分のフィルター」を探そう
仕事を選ぶというプロセスは、多くの選択肢をなんらかの基準によってフィルタリングし、自分がやりたい仕事と興味のない仕事を選り分け、適性のある仕事とない仕事を分離することです。 この選り分け作業を行なうには、ふたつのものが必要です。ひとつが「フィルター」で、もうひとつがそのフィルターに通す個別企業の「情報」です。
今の“就活”の最大の問題は、学生が企業に関する情報を集めることばかりに必死になっていて、意味のある「フィルター」を探そうとしていないことです。
インターネット上で情報開示が進んでいる現代では、企業情報を集めるのはむずかしくありません。就職活動の成否は集めた情報量ではなく、「自分独自の、価値あるフィルターを見つけられたかどうか?」にかかっているのです。
ところが学生が使っているフィルターは、「業種」や「企業規模」など一般的で粗すぎるフィルターばかりです。それではいくら企業情報を集めても自分に合った仕事を選り分けることはできません。
クラクラするほど無意味な仕事の選択理由
たとえば学生の中には、企業分析と称して売上高や利益率など企業の財務指標を熱心に調べている人がいます。けれどそれらの指標で自分の適性に合った会社、働きたい会社をフィルタリングできるでしょうか?
よくよく考えてみてください。志望企業を決めるのに、「就職先の現在の売上高や利益率」に意味がありますか?
なかには、「オレには利益率が30%以上の会社が向いている!」という人もいるのかもしれませんが、一般的には会社の利益率とその仕事への自分の向き不向きはほとんど関係がありません。そんな無関係な情報を集めても仕事選びの役には立たないのです。
さらにクラクラするほど無意味な仕事の選択理由が「社会の役に立つ仕事がしたい!」というものです。いったい「社会の役に立たない仕事」とはどんな仕事なのでしょう? オレオレ詐欺? それとも銀行強盗?? 「社会の役に立つかどうか」などというフィルターを使っても、志望業種さえ絞れません。
「成長できる仕事」というフィルターもナンセンスです。「社会人1年目に一生懸命取り組んで、まったく成長できない仕事」なんて存在しません。もし特定の仕事でしか成長できない新社会人がいるとしたら、問題は本人の学ぶ能力の方でしょう。
このように、学生が使っている仕事選びのフィルターは、職業選びにはほとんど役立たないものばかりです。ではいったいどんなフィルターを使えば、意味のある職業選択が可能になるのでしょう?