大きな節税効果があった

 1時間に1万円分の生産をする3000万円の機械があり、この機械は5年使えるとします。

 しかし機械を導入して3年目に、40分で1万円分の生産をする機械が5000万円で発売されました。

 ココで、「前の機械はまだ使える。捨てるのはもったいない」と新しい機械に買い替えない社長は、数字がわかっていません。

 新しい機械は1時間で1万5000円分の生産ができます。年間の固定費は400万円増えますが、機械を買い替えれば1時間稼働するたびに5000円分の粗利がプラスになります。1日8時間、年200日稼働で800万円の粗利が増えます。

 古い機械は会計上、「除却損」の勘定科目で経費として落とせます。
 3000万円の機械でこれまでの減価償却が1800万円だとすると、残りの1200万円が“除却損”です。

 経常利益3000万円の会社なら、除却損を計上することで税引後利益は1800万円に。
 経常利益3000万円のままならざっくり税金は1500万円ですが、除却損を計上すると税金は経常利益1800万円の半分で900万円。600万円の節税効果が生まれます。

 新しい5000万円の機械を買うために金利1%で借入れしたら、利子は50万円です。50万円など、節税効果600万円に比べたら微々たるもの。「金利がもったいない」という考えがいかにバカげているか、これでわかるでしょう。

 新しい機械の代金もすぐに回収できます。代金5000万円から節税効果の残り550万円を引くと、4450万円。新しい機械で粗利は年800万円増えます。

 700社以上を診てくると、残念ながら、100人中99人が陥る「アリ地獄」があります。これは面白いほど共通しています。
 ぜひ、第1回連載にある、ひとつでも当てはまったら危ない!【あなたの「会社の危険度」10のチェックリスト】をチェックしながら、『数字は人格』を体細胞に植えつけていただけたらと思います。