応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。

TOEFL、英検……語学資格はどれがベスト?

前回は子どもを「英語嫌い」にさせないことの大切さについてお話ししました。一方、実際にはそれだけでなく、子どもがもっと英語に自信を持ち、英語が好きになれるサポートも大切です。そこで検討していただきたいのが、語学資格の試験です。

定期的に試験を受けることで、自分の英語力がどれくらいの位置にあり、どれくらい成長しているのかが把握できるようになります。一種のゲーム攻略のように楽しめば、学習のモティベーション維持・向上にとっても強い味方になります。

また、今後は大学入試で民間の語学資格試験が利用できるようになる可能性は高いですし、海外大学でも、国際的テストのスコアを参考にするところは少なくありません。大学受験という未来を考えても、資格試験に慣れておくメリットは十分にあります。いくつか代表的な語学試験を紹介しておきましょう。

◆TOEFL
世界最大のテスト機関ETS(Educational Testing Service)が開発しているテストシリーズです。テストはすべて英問・英答であり、結果はスコアで示されます(合格・不合格ではない)。代表格のTOEFL iBT以外にも、小中学生向けの「TOEFL Primary」、中高生向けの「TOEFL Junior」があり、後者については、海外だけではなく、日本国内の大学入試でも活用がはじまっているのが魅力です。アメリカの学校に留学する際には、英語力の指標として用いられます。
まずは2技能(聞く・読む)にフォーカスしたペーパーベースのTOEFL Primary Step 1 / Step 2を受けてみて、スコアを見ながらTOEFL Junior Standard(ペーパーベース・2技能)へとステップアップしていくのがおすすめです。

◆英検
言わずと知れたメイドインジャパンの語学資格です。5・4・3・準2・2・準1・1級の全7階級に分かれており、テスト結果で合否を判定する形式です。日本の学校教育に沿った出題がなされるので、試験対策がしやすいという特徴があります。3級以上では面接があり、形式上は4技能を測定するかたちになっていますが、国際的な知名度の点ではTOEFLに劣ります。

◆TOEIC
同じくETSが運営する国際的テストです。知名度は高く、あくまでビジネス向け英語のアセスメントですが、入試に取り入れている大学もあります。4技能型の受験も可能ですが、大多数の社会人受験者は2技能型を選択しています。よく言われる「部長に昇進するには730点必要」などという企業ごとの基準も、残念ながら2技能型のテストに基づいていることがほとんどです。

◆TEAP
日本英語検定協会が、大学入試改革の流れに合わせて上智大学と共同開発した「アカデミック英語能力判定試験」です。まだ歴史が浅く、国際的に通用する資格にまで育つかは未知数ですが、大学入試の「共通テスト」に採用されれば受験者は増えていくでしょう。すでに一部の大学の入試では利用可能です。

◆GTEC
TEAPと同様、大学入試などでの活用を想定して、ベネッセコーポレーションが開発した「スコア型英語4技能検定」です。小中学生向けのGTEC Juniorと、中高生向けのGTECがあり、一部の中学・高校・大学の入試ではすでに利用されています。

◆IELTS
大学その他の高等教育機関への出願に必要な「Academic Module」、日常生活・仕事・移住関係に関わる「General Training Module」の2種類のテストがあります。イギリスやオーストラリア、カナダの大学を受験する際には、「Academic Module」が必要になります。日本では日本英語検定協会が窓口になっています。