「スマートフォンは誰のものか?」
そんな問いを投げかければ、スマートフォン保持者のほぼ全員は「当然私のものです」と答えるだろう。消費者が自らお金を出して買い求め、回線を契約している。そのスマートフォンが自分のものでないはずはない。
ところで、あなたの手元にあるスマートフォンは、あなただけが支えているわけではない。端末を作る人(メーカー)、回線を提供する人(通信事業者)、サービスを提供する人(コンテンツプロバイダー)、その流通を促進する人(プラットフォーム事業者)、あるいは遠いところではスマートフォンに電源を供給する人(電力事業者)も、ステイクホルダーとなる。
では、そのステイクホルダーの全員が、あなたのスマートフォンを、あなたのもの、あるいは「あなただけのもの」と考えているのだろうか。
一見単純だが、実は深遠な課題である。そしてその課題が、このところ浮き彫りにされつつある。
突然の広告配信に対する
静かな反発
KDDIがAndroid上で提供するアプリケーション配信プラットフォーム「au one market」上で、広告配信がスタートした。これにより、Androidの通知領域(不在着信や新着メールなどを通知するバー)に、広告が表示されるようになった。
この広告配信が、一部で物議を醸している。その理由は様々だが、概ね「気がつかないうちに勝手に広告が入っていたのが気持ち悪い」「Androidの通知領域という比較的重要な場所を広告が占めるのは受け入れられない」というあたりに集約されそうだ。