バブル世代ミドルに最も多い「成果・アイデア泥棒型」を河合氏は、「いい大人なのに、子どもみたいに自分のことしか考えない、自己中心的な人たち」と表現する。ミドル世代ともなれば、後輩を育成し、面倒をみるのは、役職の有無にかかわらず責務といえる。大げさな指導や助言でなく、仕事の様子を気にして、「よくやった」「残念だった」と声をかけるだけでもいい。だがこの型のミドルは、部下や後輩が少ない環境で社会人生活を送ってきたせいか、それを自らの責務と思っていない節があると、河合氏は指摘する。

 ただし、他人に仕事を押しつける「アガリ型」と違い、「成果・アイデア泥棒型」は自分の仕事はきっちりとこなす。しかし、それ以上は働かない。そうして「誰か」の実務負担を増やしながら、「誰にも迷惑はかけていない」という態度を取る。社内には個々人が抱える問題を共通のテーブルに出せば、速やかに解決することがあるものだ。

「テーブルを作るのは本来、ミドルの役割なのにそれを果たさず、『速やかな問題解決』という成果にただのりしている」(河合氏)

構造変化の現実を
直視しない自己欺瞞

 一方、「クラッシャー型」の特徴は「自己欺瞞」だ。

 この20年間、バブル崩壊とリーマンショックの2度の大きな構造変化があり、以前の考え方や仕事のやり方で成果を上げることは難しくなってきた。その現実を直視せず、「考え方・やり方を変えなければいけない」ということを認めない。一方で「自分は悪くない」「仕事ができる」と思い込むのが自己欺瞞だと河合氏は指摘する。

 最大の構造変化は、とりわけ、リーマンショック後に「付加価値」の考え方そのものが変わったことだ。高性能・高機能・高品質は、それ自体ではもはや付加価値ではなくなった。

 例えばiPhoneは、「高解像度液晶」のような性能自体ではなく、それを使うと「こんなに楽しい」「生活がこんなに便利になる」ことをアピールしている。「モノ」ではなく「コト」が付加価値になった時代の象徴である。

 ところがバブル世代ミドルは、「コトにつながらない高性能や高品質には、もう興味がない」という市場の変化に気づきにくい傾向がある。だから、「実はミドルは自信がない」(河合氏)人が多いという。

 現在の20代と30代前半は、どんどん進化するITを活用した商品・サービスを子どもの頃から使いこなし、先に述べた付加価値の変化を肌で感じて育っている。「そんな世代と新たな付加価値を生む商品・サービスづくり競争でガチンコ勝負したら、ちょっと勝てそうにないことに、ミドルは薄々気づいている」(河合氏)のだ。

 自分の知識や能力がもはや通用しない、積み重ねてきた経験が「無駄」だと認めるのは、決して進んでしたいことではないし、アイデンティティ崩壊にもつながりかねない。だから、自己欺瞞で心のバランスをとっているのだろう。