具体的な良い店を思いだす。そして、その店の何が自分にそう思わせているのか?と抽象度を上げて考えてみる。その抽象思考で得られた答えを、今度は具体的に自分の店ではどうするのかと具体論に落とす。こういう具体論と抽象論の往復が、思考をうながす上で重要だと考えています。
コンサルタントや大企業の企画部門にいるような人たちは、言葉(ロゴス)を使った抽象論に慣れていて、素晴らしい概念を生みだしてくれます。しかし、文字通り概念論で、現場で役に立たないこともあります。一方、具体的思考は即現場で役立つ地に足の着いたものですが、天地をひっくり返すようなブレークスルーを生むアイデアは出てきません。
この抽象論が得意な人と具体論が得意な人が一緒に議論すると、なかなか話がかみ合わないことが多いものですが、これをうまくファシリテートすると実行につながる素晴らしいアイデアが生まれたりします。ファシリテーター冥利に尽きるチャレンジングなワークショップです。
誰でも考えられる具体論からスタートする。そこから抽象論に展開して思考を飛躍させる。その抽象論から、自分たちの場合にどうするのかという具体案を絞りだす。また抽象化して考えてみる。この具体思考と抽象思考をくり返すことを意識してワークショップをデザインしてみてください。ファシリテーターとして何を問えばいいか、どの順に問えばいいか、そこではどんなフレームワークが役立ちそうか、そういうことを考える上で大変役に立ちます。
デザインのときだけでなく、想定外の展開になってワークショップが行き詰まったときにもこの指針に従って考えてみると、何を問えばいいか気づくことが多いものです。