記入にあたっては、以下のポイントに気をつけてほしい。
1.顧客に最終サービスが到達するまでのプロセス全体を見てほしい。川下、川上まで思考範囲を拡大して考えよう。
2.プロセス全体から見たとき、どんな新しい可能性が生まれ得るかを考える。誰か他のプレイヤーと連携することで新たな顧客は生まれないか、など。実は、ライバル視していた相手と手を組む余地があり、まったく別のフィールドに真の競争相手がいるということもある。
3.顧客の支出について考える項目。顧客の財布は有限であり、いくら自分の製品やサービスが魅力的でも、何かもっと、社会全体の流れで支出を要する項目があるかもしれない。またそれは、今の仕事と本当に関係ないのかどうか、関連付けられないかを考える。
では、ある医療コンサルティング会社の記入例を見てみよう。
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設問1 あなたの産業や業界ですでに起こっている変化は何か。普段見逃している変化はないか。
現在、医療技術が高等化、専門化したため、ひとつの病気が治癒するまでの治療を、ひとつの病院内で完結することが困難になっている(患者は、介護施設や診療所で初期診断を受け、高度な入院設備のある都市の病院へ入院し、手術を行い、地元の病院や診療所で専門的なリハビリテーションを実施する)。
設問2 それらの変化で生じる新たな市場/顧客は何か。その結果業界の常識や仕事の仕方はどう変わるか。
医療機関にとっての新たな顧客は、診療所、介護施設。近隣の医療機関はライバルではなく、提携先となる。そのため、どの病院がどんな医療サービスを提供できるかという情報が必要となる。また、うまく提携が機能するような仕組みも不可欠。
設問3 近くに経済成長や人口増加を上回るスピードで成長する産業はあるか。そこで考えられることは何か。
医師以外でも施術可能な領域における代替医療産業。医療リスク対策などの法整備面、代替医療における臨床データの蓄積、治療へのフィードバックなどが今後さらに重要となる。
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