薬には、いいところもあれば、悪いところもあります。
昭和薬科大学教授を務め、現在は日本薬科大学客員教授として薬に深く関わり続けているからこそ言える、薬との正しいつきあい方、薬を減らして元気に長生きする秘訣を紹介した千葉良子先生の著書、『薬学部教授だけが知っている 薬のいらない健康な生き方』から一部を抜粋し、再編集して紹介します。
真の健康を手に入れるには、生活習慣や考え方を変えることも欠かせません。薬漬け、化学物質漬けになることなく健康に生きるために役立つ知恵をご提案します。

1日2個の梅干しで基礎代謝が上がる

千葉良子(ちば りょうこ)
秋田県生まれ。医学博士、薬剤師。日本薬科大学客員教授。日本アロマセラピー学会理事、秋田産業サポータークラブ幹事、同クラブ「食と美と健康ワーキンググループ」主査。1975年、昭和薬科大学薬学部卒業後、同大学分析化学研究室助手、臨床化学分析教育研究室准教授、同研究室教授を経て、2017年4月より現職。杏林大学医学部にて免疫学を学び、東邦大学医学部にて博士号を取得。専門はルテニウム錯体化学発光法を用いた体液中医薬品の高感度分析法の開発。ライフワークとして国産樹木精油の臨床応用に携わっている。 撮影:板山拓生

 梅干しはダイエットにもいいといわれています。
 それは、梅干しを食べることで基礎代謝が上がるからです。

 基礎代謝とは、じっとしていても消費されるカロリーのことです。生きていくために最低限必要なエネルギーといってもいいでしょう。
 一日の基礎代謝量は成人男性で約1500kcal、成人女性で約1200kcalとされています。
 その基礎代謝に梅干しがどう関係するのでしょうか?

 もし一日中おとなしくじっとしていると仮定して、成人女性は1200kcal以上摂取すると、当然太ってしまいます。
 とくに年齢を重ねるにつれて代謝が落ちてくるので、これまでと同じカロリーを摂取していても太ってしまうという、この理屈を知らない人にとっては不可解な現象が見られることになります。
 では、太らないためにはどうしたらいいのでしょうか。
 基礎代謝を上げて、消費するエネルギーを多くすることが必要になります。

 そこで梅干しの登場と相成ります。梅干しが基礎代謝を上げてくれるのです。
“主役”となる成分は、クエン酸です。

 体内に入り込んだ炭水化物やたんぱく質などの栄養素がエネルギーに変換され、消費されれば太ることは避けられるわけですが、そのエネルギー消費を活発にしてくれるのがクエン酸なのです。
 体内の炭水化物などがエネルギーに変換されることをクエン酸回路(TCA回路)といい、その名前からもわかるように、その働きの中心にいるのがクエン酸です。

 梅干しにはクエン酸が豊富に含まれています。梅干しを食べることでクエン酸回路の働きが活発化し、エネルギーの消費が促進されるのでダイエット効果が期待できるのです。

 基礎代謝を上げるためには、一日1~2個の梅干しで十分です。
 和歌山県立医科大学機能性医薬食品探索講座が女性201人に対しておこなったアンケート調査によると、肥満度を測る目安とされるBMI値(体重÷〔身長の2乗〕)が、標準とされる25未満の人がもっとも多かったのは、一日1~2個の梅干しを食べている51名のグループでした。

 また、基礎代謝が上がると全身の血液の循環がよくなり、体温が上がり、それによって免疫力が高まります。ですから梅干しによるダイエットは健康的でもあるのです。