理由は明確で、それではあまりにも情報量が少なすぎるからです。
 メンバーが顔を合わせて議論するときに流通する情報は「言葉」だけではありません。表情や仕草、声音、さらには場の空気など非言語的な情報のほうが圧倒的に多いのが現実。そして、「言葉」と「非言語的な情報」が合わさって、はじめて実のある議論が成立し、結論を腹に落とすことができるのです。

 なかでも、場の空気を感じることは、人間がコミュニケーションを取るうえでは非常に重要です。それは、テレビ会議を経験したことのある人なら実感できるはずです。相手の顔も見えるし、声も聞こえますから、非言語的情報もやりとりしているはずなのに、それでも何かが足りない。本当に意思疎通ができたのか不安が残るのです。これはおそらく、普段、私たちが場の空気から微妙なニュアンスを感じ取りながらコミュニケーションを行っているからです。

 そして、真に腹落ちのできるディスカッションを経た意思決定でなければ、その意思決定に基づくメンバーのアクションの質も落ちます。ですから、メンバーが集まって顔と顔を見合わせながら議論する「会議」という場は、チーム運営にとっては必要不可欠なのです。

 もちろん、些細な「報連相」はメッセンジャーで手っ取り早く行うのが適切ですが、それが機能するのは、定期的に顔と顔を合わせる会議をしっかり行っているからだということを忘れてはならないのです。

 そして、チーム活動のエンジンとして機能するのが定期的に行う定例会議です。私は、定例会議での意思決定案件の数を絞り込んで、少人数ミーティングを活性化すべきだと提唱しています(連載第5回参照)。少人数ミーティングの場で次々と意思決定をしていくことによって、意思決定スピードを最速化するべきだと考えているからです。

 しかし、それは決して、定例会議を軽んじているわけではありません。逆です。定例会議が重要だからこそ、定例会議で扱うテーマを厳選すべきだと考えているのです。そして、定期的にメンバーが顔を合わせて、チームで共有すべきビジョンや目標を確認しながら、質の高いディスカッションをすることによって重要な意思決定を行うことが、チーム活動を推進する最も重要なエンジンだと考えているのです。

 ただし、「定期的に集まる」ことが定例会議の目的ではありません。