特段共有すべきこともなく、意思決定をすべき議題もないのであれば、むしろ流会にして、現場業務を少しでも先に進めてもらうほうがよいでしょう(下図)。

ダメ上司ほど会議でよくしゃべる。優れた上司は黙ってメンバーを「○○」する。【定例会議5つの基本】

「企業理念」をメンバーに浸透させる

 では、マネジャーが定例会議で強く意識すべきことは何でしょうか?
 もちろん、意思決定こそが会議の最重要テーマですが、それ以外では、【下図】の5つのポイントを常に意識する必要があります。これは、ソフトバンク時代にいくつものチームで試行錯誤しながら、最終的に行きついたものです。

ダメ上司ほど会議でよくしゃべる。優れた上司は黙ってメンバーを「○○」する。【定例会議5つの基本】

 以下、それぞれ概説していきます。

 まず、「企業理念・経営方針・経営戦略の共有」です。言わずもがなですが、チーム活動全般を統制する最大の基準は「企業理念」です。これを、メンバー全員がしっかりと理解して、機会あるごとに反芻しながら、認識を深めていくことが、チーム活動の質を高めていく最も重要なポイントです。

 また、意思決定を行う際の最大のポイントも企業理念となります。ソフトバンクであれば、「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を掲げていますから、たとえば、「儲かるけれど人々を不幸にする」ような提案が認められることはありません。最速で「よい意思決定」を行うためには、まず何よりも、メンバー全員が「企業理念」を自分のものにしておく必要があるのです。

 毎期発表される経営方針や経営戦略についても同様です。会社が示す「方針・戦略」を踏まえて、随時、チームの活動にも軌道修正を加えていく努力が不可欠。そして、チーム内の意思決定も「方針・戦略」に沿ったものである必要があります。「理念・方針・戦略」はチーム運営の基軸であり、それを定例会議の場で周知徹底していくのはマネジャーのきわめて重要な仕事のひとつなのです。

 もちろん、経営方針・戦略が発表される期初の定例会議では、必ず丁寧に伝達する必要がありますが(この際に改めて企業理念についても伝えるとよいでしょう)、毎回の定例会議でいちいち触れる必要はありません。ただし、四半期、半期に一度は簡略化した形でも構わないので、改めて伝えることでメンバーの意識に定着させる努力はすべきでしょう。

 しかし、それよりも重要なことがあります。