9月になって、たまたま来店されたお客様が購入したいというので、先輩に手伝ってもらいながら契約を済ませ、納車したときには11月になっていました。それが、はじめて売れた1台でした。
それから順調に売れるようになって、その年度に合計13台を販売し、新人賞をいただきました。まったく売れなかった私でしたが、あっと驚く逆転満塁ホームランです。壇上で表彰状をいただいたときは、最高の気分でした。
自分にも売れる。それがわかって、この仕事を続けることができる歓びの中で少しずつ営業としての力をつけていきました。
「売れない自分」がいたからこそ
いま振り返ると、新人時代の「売れない自分」がいたからこそ、トップセールスを続けられたのだと思います。なぜ、同じクルマを売っていて差が出るのだろうか、どうしたら売れるようになるのだろうか、どうしたらお客様に歓んでいただけるのだろうか――真剣に考えて、夢中になって取り組んでこられたのだと思います。
1件の商談の大切さは体で覚えるものかもしれません。
あの辛い飛び込み営業の時期があったから、いまの自分があるのです。そして1件1件のお客様の大切さ、感謝の気持ち、歓んでいただきたいという気持ち、本気で仕事に取り組むことの大切さを学ぶことができたのです。
この「売れない自分」は、私の営業人生の原点です。もし、いま売れずに悩んでいる人がいても、悩むことはないのです。ゼロセールスの辛さを知っていることが、きっと役に立つからです。ゼロセールスは、トップセールスになれる近道かもしれません。
すべては「接客」にある
売れない悩みを抱えている営業マンは、全国に大勢いらっしゃると思います。こうした悩みに対する答えは、すべて「接客」にあると私は思っています。
まじめにやる、誠実にやる、ウソをつかない、数多くのお客様に会う、一生懸命にお客様のことを考える、アフターフォローをきちんとする、顧客満足度を高め、信頼していただく……。こうした「当たり前のこと」を私も目指してやってきました。