若くて伸び盛りの企業は
日経平均に採用されない

藤野 日経平均銘柄への採用は、時価総額や流動性(売買がどれだけ活発になされているか)という2つの観点から、その時々で日本を代表する企業が採用される仕組みになっています。

 ですから、企業が伸び盛りの時期ではなく、ある程度成長した後に日経平均に組み入れられることが多いのです。

ちきりん グリーとかディーエヌエーとかをもっと早く日経平均に組み込んでおけば、日経平均はもっと伸びたはずだと思うのですが、流動性など銘柄選択の際の技術的な問題としてそういうことが難しいわけですね。

藤野 そうです。それから、もっと重要な問題として、この10年間で大企業の利益がだいぶへこんでしまったということが言えると思います。

 日経平均は時価総額の大きな会社の株価動向でほとんど決まるので、大企業がへこんでしまうと株価にも影響し、日経平均も下がる仕組みになっているのです。

 日本全体の経済規模を示すGDPは趨勢としてこの10年も増え続けていますが、それが反映されてないのは、大企業の利益がへこんで、その分の利益が中小・中堅企業に分散しているからです。だから、大企業の状況を示す日経平均は、日本の経済実態以上に落ち込んでしまった、ということになるわけです。

ちきりん 日経平均以外の株価指標、たとえば、小型株が集まっているジャスダック市場の株価指標なんかはちゃんと上がってきているのですか? それともそういった指標も、現実を反映する指標づくりに失敗しているんですか?

藤野 日経ジャスダック平均は、2001年9月から2011年9月の10年間で10%上がっています。残念ながら劇的に上がっているというわけではないのですが、大型株の影響を受けやすいTOPIXは同時期でマイナス26%なので、それと比べると、中堅企業の集合体を示す指標はちゃんと上昇しているということは言えます。

 また、個別にみると、株価が何倍にも成長した中小企業が結構たくさん出ています。

ちきりん なるほど。藤野さんの本には、何倍にも上昇する小型株のことがたくさん紹介されていますが、そういった株価指数は、日本経済の中で中小企業が頑張っている状況をきちんと反映しているのですね。

                          (第3回へ続く)

 


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