最近、テレビ番組からの出演依頼が続き、その活躍に注目が集まるデザインオフィスnendo・佐藤オオキさん。そんな彼が今月、初めての絵本『コップってなんだっけ?』を発売し、ファンを驚かせました。ルイ・ヴィトン、エルメスといったヨーロッパの名門ブランドをはじめ、名だたるプロジェクトを世界中で手掛けるデザイナーの佐藤オオキさんが、なぜいま「絵本」を描いたのでしょうか。

佐藤オオキが絵本『コップってなんだっけ?』を描いた理由

 あの佐藤オオキさんが「絵本」を作ったと聞いて、「佐藤オオキが絵本を作ると、いったいどんな絵本になるのか?」と興味をひかれた方も多いのではないでしょうか。

 デザインオフィスnendoを率いる佐藤オオキさんは、デザイン界の最高の栄誉といわれるELLE DÉCORのグランプリを史上最年少で獲得し、いま、世界がもっとも仕事をしたがるデザイナーの一人。同時進行中のプロジェクトは400を超え、ルイ・ヴィトン、エルメス、バカラといったヨーロッパの名門ブランドから、「箸」や「樽」などの伝統工芸の職人からも信頼を勝ち取っている気鋭のデザイナーです。

 そんな彼が、一体なぜ「絵本」の制作に挑戦したのでしょうか?

 その理由が、『コップってなんだっけ?』の巻末メッセージのなかで述べられています。特別に、佐藤オオキさんから「お父さん、お母さんへのメッセージ」の内容を公開します。

『コップってなんだっけ?』巻末メッセージを特別公開!

『コップってなんだっけ?』(佐藤オオキ 著)

お父さん、お母さんへのメッセージ

 はじめまして、デザイナーの佐藤オオキです。
 みなさんは「デザイン」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
 キレイでカッコいい形をつくること……、なんて思っていたりしませんか?

 自分にとって「デザイン」とは、日常のちょっとした不便を見逃すことなく、それに対する新しい解決策を見つけることです。

 そう、コップのような身のまわりにあるさりげないものでも、「目線」次第で無限に進化させることができるんです。

 コップを見て、「これはふつうのコップだな」と思った瞬間に、アイデアは浮かばなくなります。「コップってよく見たら面白いな」「どうやったらもっと面白いコップになるのかな?」というものの見方が重要なんです。

 この本は、そんなどこにでもあるようなコップを主人公に、自分が実際にどんなふうにものごとを見ているのか、頭の中でどんなふうに考えているのか、それを形にしたものです。読んでいただくことで、日常を優しく疑い、そこから新たな発想を促す「デザイン目線」が身につくように考えました。

 この本に登場した、たくさんのコップたちを眺めつつ、「このコップが好き!」「もっとこんなコップもできるんじゃない?」なんて会話が親子で盛り上がれば、とてもうれしいです。

 最後にひとつだけ。お子さまが思いついた変なアイデアもどんどん歓迎してあげてください。だって、目線は「人と違う」ことが正解なのですから。

2018年4月 nendo 佐藤オオキ

佐藤オオキ(さとう・おおき)

デザイナー。デザインオフィスnendo代表。1977年カナダ生まれ。2000年早稲田大学理工学部建築学科首席卒業。2002年同大学大学院修了後、デザインオフィスnendo設立。「小さな“!”を感じてもらうこと」をコンセプトに、東京・ミラノを拠点として、建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと多岐にわたってデザインを手掛ける。
Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」(2006年)、「世界が注目する日本の中小企業100社」(2007年)に選ばれる。また、Wallpaper*誌(英)、ELLE DECO International Design Award、Maison et Objet(仏)にて「Designer of the Year」を受賞。代表的な作品は、ニューヨーク近代美術館(米)、ヴィクトリア&アルバート博物館(英)、ポンピドゥー・センター(仏)など世界の主要な美術館、博物館に収蔵されている。著書に『問題解決ラボ』(ダイヤモンド社)、『ネンドノカンド』(小学館)、『佐藤オオキのスピード仕事術』(幻冬舎)、『ウラからのぞけばオモテが見える』(日経BP社)などがある。これまでに出演したテレビ番組は、「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)、「SWITCHインタビュー 達人達」(NHK Eテレ)、「アナザースカイ」(日本テレビ系列)、「オドモTV」(NHK Eテレ)など。そのいずれもが大きな共感を呼んでいる。