中国の小売店だと、支払いのときに微信(ウイチャット)のアドレス交換を求められることが多い。その後、モーメンツで次々に商品がアップされる。インポートなどの1点物の店だと客は全員、先にスマホで新入荷した商品を見て買いに来ていた、ということもあった。 

ライブ中継は多種多様。食事する女性
ライブ中継は多種多様で見れば驚く

 日本の銀座で高級婦人服などを買った中国人客が帰国した後、これで新商品をアピールすれば、彼女たちは中国から注文してくれる。顧客情報も分かっているのである。返品はお断り――もしくは国際送料顧客負担にしても、買う度胸のある人は中国にはたくさんいる。

 しかしタオバオのシステムは、それを追い越した気がする。

 日本人と日本の店舗は非常に信用がある。アリババは本来、中小企業支援を背景に生まれたビジネス。関税や商品によっては輸出入制限などいろいろあるが、うまく構築できれば、特に個人商店など、利益を生むかもしれない。

 代理購入のように個人と個人の関係であれば、関税をかけるかどうかは、現地の通関の判断である。

 すでに中国の日本企業でも、ライブ動画で人気の網紅(インフルエンサー)をイベントに起用したり、ライブ動画でイベント中継したりなど、効果を上げているところもある。

 百聞は一見にしかず――。

 まずは近くの中国人をつかまえて、スマホの中のタオバオの中国国内ライブ動画と、全球現場(グローバル現地発販売)を見てほしい。

 世界はすでにこんなふうにつながっている。私は衝撃を受けた。

谷崎 光/作家、2001年から北京在住。代表作に松竹で映画化された『中国てなもんや商社』(文藝春秋)他、著書多数。近刊に『中国人の裏ルール 10年住んでもダマされる』(中経の文庫)、『本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか?』(集英社)など。ツイッターのアカウントは@tanizakihikari