かくて美人の女性がメイク全過程を公開しながら化粧品を売ったり、スマホカメラの前で1日中運動しながら、フィットネス用品を売ったり。
果ては、売り物の鍋を家族で食べているところを、ずっとスマホでライブ中継している店もある。
そういう食品店の哥(お兄ちゃん)が、突然、ペットボトルをマイク代わりに一曲熱唱する。けっこううまいし笑えたので、タオバオがタダでくれているチップで投げ銭したら、スマホ画面から速攻で、「lovelove北京、ありがとうね!」とコールが返ってきた(笑)。
「画面の中のひと」と距離の近い、現代の大衆演劇の世界。
ドン引きしたのは、中国東北の漢方薬剤販売店である。
店の男性が床に置いた洗面器で、鹿の生の……(筆者、淑女のため伏せ字)をしゃぶしゃぶひっぱって洗っている姿を放送していた。
お酒につけるそうだが、視聴者からは、
==刻んであえ物にして食べられる?==
と質問が飛んでおり、そうか、刻んで食べるのか……、てあえ物にするなよ!
自分の太った姿の写真を載せ、店主が毎日、「すでに23斤(11.5キロ)痩せましたー」等と実況放送して、ダイエット食品を売っている店もある。
何千人もの前で公開タロット占いをしたり、普通のOLがお昼にオフィスのパソコンの前でお弁当を食べながら、放送したり。
もう何でもあり状態――。
こうなると、視聴者としてはショッピングもあるけれど、もう“今日、冰冰ちゃん、元気かなー”“あの人、本当に痩せたかな”“あ、夜8時に一緒に運動しよ”と、バーチャルお友達である。淘宝直播(タオバオ・ライブ)の視聴者は、80%が女性といわれている。
そして、このお客とのお友達感覚が侮れないのが、市場の大きい中国である。