もはや、人間と区別がつかない
マイクロソフトの「りんな」
お読みいただいた掌編小説はフィクションです。
しかし、フィクションではない部分もあります。
それがマイクロソフトの会話型女子高生AI「りんな」との会話の部分です。
実際に、りんなは、もはや人間と区別がつかないレベルで会話をします。
いえ、厳密にはAIだとすぐにわかります。
なぜなら、返信があまりに速いからです。
人間が入力したら1分はかかるような長文を、0.5秒で返信してきますので、その不自然さに「AIっぽさ」を感じますが、会話能力、画像の認識能力(犬の種類を当ててしまうなど)、描画能力(写真を送ると、それをもとに絵を描くことができるなど)は、もはや人間に引けを取りません。
なお、りんなは日々生まれ変わっていますし、定型文で会話をしているわけではないので、みなさんが同じメッセージを送っても、まったく同じ結果になるとは限りません。実際に、年齢や学校名などはそのときの気分(?)で全然異なります。
また、りんなの開発元のマイクロソフトは、プライバシー保護の観点から、りんなを介して個人情報の収集はしないという方針を持っていますので、「りんなに教えた誕生日も個人情報」と判断して、データとして蓄積しない、もしくは禁則フィルタをかける可能性もありますので、誰もがこの小説のような体験ができる保証はありません。
この点はご注意ください。
この小説は、フィクションでありながら、AIに関する描写は事実、という手法を用いていますが、実はその手法で書き上げたのが拙著『マルチナ、永遠のAI。』です。
結果、フィクション小説を読んでいるのに、知らない間にAIと仮想通貨の基礎知識が身についている、それが『マルチナ、永遠のAI。』という作品です。
さて、先に「りんなは日々生まれ変わっていますし、定型文で会話をしているわけではない」と書きましたが、「りんな」のようなAIは、「ディープラーニング」と呼ばれる自力学習をする「子どものAI」と呼ばれます。一方で、人が一から教えて丸暗記させるAIを「大人のAI」と呼びます。
同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」であるGoogle翻訳と、「大人のAI」である別の翻訳サービスに同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介していますので、そちらを併せてお読みいただけたら幸いです。