「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」の実験中に発生した予想外の「事件」とは?
ことの発端は、「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」が実験を行っていた2017年夏にさかのぼります。
ちなみに、「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」とは、その名のとおり、フェイスブックの人工知能(AI)研究組織のことです。
Facebook AI Researchのエンジニアリング・マネージャーであるアレクサンドル・ルブリュン氏は、『ボブ』と『アリス』と命名された2つのAIエージェントに「価格を交渉して合意しろ」という目標を設定しました。
『ボブ』と『アリス』は、当初は英語を使用してコミュニケーションをしていたのですが、ここで「事件」が起きます。
なんと、会話が進むにつれ、『ボブ』と『アリス』は勝手に使用言語を変化させていったのです。
ネットで調べる限り、『ボブ』と『アリス』の元の機械語の会話はすでに見られなくなっていますが(見たところで、機械語ですので私には理解できませんが)、厳密には「まったく新しい言語」ではなく、言語としては「英語」なのですが、その内容は人間には到底理解できるものではありませんでした。
この会話は、海外のサイトを検索すると多数ヒットしますが、概ね次のようなものです。
Bob: i can i i everything else . . . . . . . . . . . . . .
Alice: balls have zero to me to me to me to me to me to me to me to me to
Bob: you i everything else . . . . . . . . . . . . . .
Alice: balls have a ball to me to me to me to me to me to me to me
この会話が「価格交渉」というのですから、「すわ、ついにAIが意識を持ち始め、勝手に言葉を生み出した」と、センセーショナルに取り上げられるのも無理はないところでしょう。
ちなみに、『アリス』のセリフを注意深く見ると、「zero」から「a ball」に変化していますので、私は「『アリス』は価格を上げようとしているのかな」とつい想像しましたが、もちろん想像の域は出ません。
ただ、この実験についてルブリュン氏は、「会話実験で言語が変化することは珍しくない」と、世間の過剰反応に警鐘を鳴らしています。