「じゃらん」や「ゼクシィ」が生んだマッチングビジネス

福田:リクルートもそうでしたが、昔の広告会社は、メディアの受け手についてあまり考えられていなかったと思います。要は、クライアントだけを見ていて、受け手の人を見ていない。お金をもらうほうばかりに顔を向けて、営業のスキルをはじめプレゼンテーションの技術、商品力、企画力、提案力を高めて行っていました。一方で、サービスの受け手である読者には、目の向け方が弱かった。

朝倉:それが変わった契機というのは何だったのですか?

福田:「じゃらん」や「ゼクシィ」といった、市販雑誌が出てきた時です。このことでサービスに対する考え方が少し変わってきました。
リクルートは無代紙(フリーペーパー)の「リクルートブック」などから始まりました。これらは、クライアントから広告出稿を頂いて、それを受け手に届けるビジネスです。しかし、市販誌として、広告だけに頼らず読者に買っていただいて売り上げを積み上げるというのは、すごくエネルギーがいることです。
買っていただくために、どうすればいいのか。この頃から、そうした読者マーケティングに初めて目を向けたんじゃないかと思います。
そこから、バランスの良いサービスになりました。お金をもらうほうにも、読者のほうにもきちんと目を向けるようになった。そこで初めて、マッチングビジネスと言えるようになったんです。
当時、マッチングビジネスなんて言葉は、社会にもリクルート社内にもありませんでしたからね。

*次回に続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2018年2月3日に掲載された内容です。