この美味しそうな写真は、どうやって撮ったんですか!?

小関 なるほど。更に掘り下げて、具体的に教えてください。まず、肉焼屋 D-29さんの塊肉です。こちらは、本のカバーにも入れていますが、とにかく良い具合に煙が立っていて、トングで掴んでいる塊肉が、美味しそうなんですよ。

焼肉でインスタ映え!プロカメラマンが教える撮影のコツ3ヵ条肉焼屋 D-29の塊肉

 肉焼屋 D29さんの塊肉は本当に大きくてジューシーでした。表面の焼き色が良いタイミングを逃さないように心がけました。焼肉写真においてトングの位置・使い方はとても重要です。トングを使うことで焼き手の表情が出ます。
 立ち上ってる火と煙は偶然です。焼肉の神が降りてきてくれたのかもしれません(笑)

小関 2つ目は、焼肉大貫さんのカタサンカクとご飯。この巻いているタレ肉とご飯の具合が絶妙で、たまらんのですわ。

焼肉でインスタ映え!プロカメラマンが教える撮影のコツ3ヵ条焼肉大貫のカタサンカクとご飯

 これはお肉の焼き加減もそうですが、ご飯の量も重要です。ガッツリ感を出したかったので小関さんには男っぽくグッと力強くお肉で挟んでもらいました。
 肉で挟んでるご飯の面を見せないのもポイントです。斜めに撮ることで奥行きあって美味しそうに撮れましたね。

小関 3つ目は、日本橋イタダキさんの三代目ウニロース。最近、雲丹と肉を合わせるのも焼肉の流行の1つですが、撮影がいかんせん難しい。しかも炎が上がっていて、肉は焼けているわけです。

焼肉でインスタ映え!プロカメラマンが教える撮影のコツ3ヵ条日本橋イタダキの三代目うに上ロース

 これには苦労しました(笑)高級肉なので焼けるのも早く(5秒前後)、その上に形が崩れやすい雲丹をのせる。一人では至難の業です。

 ただのせただけでは写真が表面的になるので、半分焼けた状態で後ろを持ち上げてもらいました。

小関 4つ目は、格之進R+さんの骨付きミスジ。こちらもカバーに使われたものですが、2つにカットされた塊肉が本当に美味しそうなんです。もっとカットしたところではなく、2つを中央からカットし、断面を見せていますね。

焼肉でインスタ映え!プロカメラマンが教える撮影のコツ3ヵ条格之進R+の骨付きミスジ

 まず焼く前に見たお肉に圧倒されました。これだけの厚みがないとあのレアな断面が出せないしカットしてもらう場所も中心から外れるともう少し火が通った状態なので一番レアな中心部をカットしてもらいました。とても良い色です。
 今回の本は現場で見た最高のお肉の色をなるべく忠実に再現したい一心で作業しました。これも焼き色もレア感もよく出ていて、画像処理する際に大画面で見ていると無性にお腹が空いて困った写真でした(笑)

編集部 これからは榊さんの三ヵ条を意識しながら、焼肉写真撮りたいと思います。ありがとうございました。

焼肉でインスタ映え!プロカメラマンが教える撮影のコツ3ヵ条小関尚紀(こせきなおき)
1970年、大阪府生まれ。サラリーマン作家
趣味、焼肉。都内140店舗の焼肉店を訪問するなど独自研究、分析がこうじて、東洋経済オンラインで焼肉記事を連載。たちまち人気連載となった。
焼肉は、メインの肉を焼き仕上げることを客に委ねられるケースが多い、減点法のグルメ。きっちり焼き上げないとせっかくの美味しい肉がもったいないことになってしまうのだが、今まで上手く焼くための指南書が存在しなかった。美味しい焼き方の技術を読者にシェアしたいというのが、本書を書く動機となった。
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程後期中退。早稲田大学大学院(ビジネススクール)国際経営学専攻修了[経営学修士]。現在、都内企業に勤務しながら作家として活動。著書に、『「即判断」する人はなぜ成功するのか?』(サンマーク出版)、『世界一わかりやすいゲーム理論の教科書』(KADOKAWA)などがある。
榊智朗(さかき・ともあき)
フリーカメラマン、写真家。
1979年、福岡県朝倉市出身。2006年リクルートひとつぼ展入選後、独立。人物・料理・建築等の広告、書籍の表紙等、PV等様々な分野で活躍している。