どんな人間も、半年間で一人前にする!

 中小企業に「何年もかけてじっくり育てる」といった人材の余力も時間の余力もありませんから、どんな人間も「半年間で一人前にする」ためのカリキュラムになっています。

 昔ながらの町工場に入社すると、最初に「バリ取り」(材料を切ったり削ったりした際にできる「出っ張り」を取り除くこと)などを覚える「下積み時代」があります。

 バリ取りができるようになると、ようやく機械を触らせてもらえるようになる。
 そして、機械を使いこなせるようになると(職人のノウハウが身につくと)、その機械の責任者になる。プログラマーになるのは、その後です。

 つまり、プログラマーになるのは最後であり、早くても5年くらいはかかります。

 ですが、当社のように多品種少量生産の場合、「ひとつのプログラムで1万個つくる」ことはなく、ひとつのプログラムでできる製品は、ひとつです。

 したがって、プログラムの数(プログラマーの人数)を増やさなければならないため、5年も待ってはいられません。

 そこで、「職人になる」というプロセスを飛ばして、入社半年でプログラマーになれる教育カリキュラムをつくっています。

 営業副部長の永徳直己は、「社員教育は、片手間では絶対にできない」と断言し、次のように述べています。

「それぞれのセクションに教育担当の社員がいます。彼らは、自分の仕事よりも社員教育を優先している感じですね。
 ひとりの人間のやる気と発想が、企業を大きく変えることもあります。
 それほど、人の可能性は大きいものです。
 当社の社員はそのことがわかっているので、本気で人を育てたいと思っている。
『自分の時間を削ってでも、新人の可能性を伸ばしてあげたい』と考えているのだと思います」(永徳)