藤沢  なるほど。ところで、ひふみ投信のマンスリー・レポートを見ると、去年の東日本大震災の後に、非常にいいパフォーマンスを出していますね。TOPIXを大きく上回っています。

大量の現金を保有していた3.11

藤野  3・11の震災の前は、ギリシャ危機もあり、リビアで戦争がはじまったりしていたのに、株式市場は妙に楽観的で、全体的にずっと上がり調子でした。だから、私は割高感が出てきた銘柄をいくつか売って、現金のポジションを増やしていました。そうですね、3月11日は、ポートフォリオの15%ぐらいが現金ポジションだったと思います。

 それであの大震災です。また、過去の阪神・淡路大震災(1995年1月17日)、オーム真理教によるサリン毒ガステロ(1995年3月20日)、アメリカの9・11の同時多発テロ(2001年9月11日)などの惨事で大きなショックが市場に加わったときには、だいたい2日ぐらい続けて株式市場が下がっているんです。だから、震災の次の営業日の3月14日月曜日は、まだ、株を買い始めませんでした。というか、まだ一部売却をしていました。

藤沢  僕も今でもはっきりと覚えていますが、3月14日の株式市場は、復興需要への期待からそれまで低迷を続けていた建設株が大きく上昇して、原発事故で日立や東芝などの原発メーカーが叩き売られ、もちろん東電はストップ安で、多額の保険金支払いという連想から保険会社なんかも派手に売られていましたね。

 でも、実際は地震保険というのは、保険会社が全額負担するような仕組みではなく、これはもちろん3月14日以前でも調べれば分かったことですが、まずは単純な連想で売られ、その後、保険会社は持ち直しました。このようにミスプライスされた銘柄が市場のあらゆるところにありました。