依存するように設計されているスマートフォン
――現状は、共生関係と呼べるでしょうか?
最近発表された調査結果によると、子どもは1日に最大10時間もスマートフォンの画面をスワイプしているそうです。意味のないスワイプです。何かを読んでいるわけではありません。「一つの種として」の価値からみて、この行動は人間の価値を下げていると私は思います。
スマートフォンのポイントは、我々の心理上のアキレス腱につけいるように設計されていることです。スマートフォンは我々人類を強くするために設計されているのではなく、一つの種として価値を下げるために設計されています。
スマートフォンのデザインをみたらわかります。光がフラッシュするのは、鳥が羽や尾をフラッシュさせるのと同じです。ノイズ・アラートはモンキーが我々の関心をひくための合図と同じです。光が見えず、音も聞こえないときは、我々の関心をひくために振動します。自然界とそっくりです。心理学上の理論のすべての面が、スマートフォンを病みつきになるように使われています。
テクノロジーを利用するのは巨大なスロットマシンのようなものです。いつかわからなくても、時折いいことが起こります。そのいいことが起こるという期待があるから、しょっちゅうメールをチェックするように強いられてしまうのです。
――親として子どもに対する悪影響をどうやって軽減しますか?
エイケン 政府にアドバイスをする、科学者、行動科学者、教育関係者などが結集して、ガイドラインを作ることを要求することです。ハイテク企業のエグゼクティブたちの多くは自分たちの子どもが14歳未満であればスマートフォンを使わせないと言っています。実際にそう公言している人がこのスマートフォンを作っている張本人たち、です。
――彼らは自分たちが何をやっているかわかっているということですね。
エイケン そうです。将来集団訴訟が起きたら、このようなパワフルで危険な道具(スマートフォン)が、あまりにも若い子どもたちに与えられたという事実が中心的な論争の的になるでしょう。