建設的な「コメント」で新しい発想が生まれる
一通り「Q&A」が終わったら、「各自コメント」のパートに入ります。
ここでは、「Q&A」で出されたすべての論点を踏まえて、提案に対する改善点を参加者一人ずつにコメントしてもらいます。参加人数にもよりますが、参加者一人につき伝えたいことを1分程度で話してもらうとよいでしょう。「6×1分=6分」でコメントをもらって、残り3~4分で担当者が総括コメントをするというイメージです。
ここで、重要なのは「自論」を述べてもらうという点です。
「否定的な意見」であっても、それが提案内容をブラッシュアップするためのものであれば、そこから学ぶことができるからです。これが徹底されると、担当者に新たな視点がもたらされることが少なくありません。たとえば、次のような展開です。
参加者A「スタッフ研修よりも店長研修を優先する理由はよく理解しました。ただ、新任店長ですから、研修を受けても、それをスタッフに徹底してもらうのは、ちょっと荷が重いかもしれません。スタッフ研修も行って、店長への負荷を少なくすることは検討すべきだと思いました」
参加者B「そうかもしれませんね。そのためにも、より安価な研修会社を検討する意味はあると思います。ただ、Cさんが指摘したように、スタッフ研修をするとなると、限られたスタッフでオペレーションを回すのも一苦労ですね」
参加者C「そもそも、接客接遇に問題があるのは、スタッフの人手が足りずお客様に十分な対応をする時間がないから、ということは考えられませんか? この際、スタッフ体制が適切かどうかも検証していいと感じました」
このように、他の参加者の質問やコメントから、新たな発想や課題が浮かび上がれば、非常に有意義な「Q&A会議」といえるでしょう。そして、担当者は、次のように「Q&A会議」を総括するコメントを出して、議論を整理します。
担当者「では、研修会社については再度検証したうえで、店長研修から着手する方向で提案を完成させたいと思います。また、スタッフ体制の問題については、別途、検討したいと思います」
そして、参加者に御礼を伝えたうえで、「本日のブレストを受けて、〇月〇日までに提案書を完成させますので、改めてご報告いたします」などとネクストステップを伝えて閉会とします。
なお、「各自コメント」で議論に収拾がつかず30分を超過してしまう場合には、そこで切ったほうがいいでしょう。なぜなら、ほとんどの場合、議論が収束しない原因は、そもそも提案内容が十分に煮詰まっていないことにあるからです。にもかかわらず、30分以上ディスカッションしたところで、たいした意味はありません。むしろ、ここで出された論点を踏まえて、再度、しっかりと提案内容を練り直すことにしたほうが、よほど建設的なのです。