「意見」ではなく「質問」を求める

「Q&A会議」のプロセスは下図のとおりです。

社内調整の上手なマネジャーが密かにやっている「ひと手間」

 まず、参加者には事前にブレストのテーマを伝えるとともに、提案書のドラフトを送付しておきます。予算やスケジュールなどの詳細情報も共有したうえで、それぞれの立場から専門的な指摘をしてもらうことを依頼します。

 ただし、次の3点については、明確に伝えておくといいでしょう。まず第一に、「この会議は意思決定の場ではない」ということです。あくまで提案内容を事前共有するとともにブラッシュアップするための場であり、「そのために協力してほしい」と要請します。

 第二に、「この提案内容に対する意見ではなく、質問を求めている」ということです。これこそ、「Q&A会議」の最大のポイントです。意見は往々にして「よい、悪い」の二元論に陥りがちで、その結果、対立構造を生み出しやすいからです。

 一方、質問は参加者の創造性を引き出しやすいコミュニケーションです。「これはダメだろう」と意見されれば、相手は「ダメではない理由」を訴えることに意識が向かいますが、「なぜ、こうするの?」と質問されれば、「なぜだろう?」と考えることに意識が向かいます。

 しかも、質問されているのですから、何らかの「答え」を出さなければならない。このように、質問には「考える」ことを誘発する力があり、その結果、ときには、よりよいアイデアに自ら辿り着くことができるわけです(下図参照)。これこそが、「Q&A会議」の核心であり、「それに協力してほしい」と参加者に依頼しておく必要があるのです。

社内調整の上手なマネジャーが密かにやっている「ひと手間」

 第三に、「参加者は全員フラットな関係である」ということです。役職の違う参加者が集まることもありますが、役職によって発言の軽重を生じさせてはいけません。その瞬間に、萎縮する参加者が生まれますので、十分に気をつける必要があります。

 これら3つのポイントは、非常に大切なことなので、チームのメンバーが慣れないうちは、マネジャー自身も「Q&A会議」に参加して、随時、参加者に理解してもらうようにするといいでしょう。