「このまま、今の会社にいて大丈夫なのか?」そう感じたことがある人も少なくないのではないだろうか?「働き方改革」や「人生100年時代」など、どう働くか、どう生きるかの選択肢が増えるにつれ、迷いも増えてくるもの。転職は以前よりもずっと身近なものになってきた。そんな時代に、「転職難民」にならないためにはどうすべきなのか?

2人に1人が転職する時代へ

「働き方改革」が注目されるいま、現状の職場に不満を感じたり、さらに自分らしく働ける職場を求めて、“働く場所自体を変える”、つまり転職の増加という動きがみられる。

 総務省統計局の発表によると、2017年の転職者数は311万人。2012年の調査は286万人だったが、毎年増え続け、安倍首相が「働き方改革」を唱えた2016年にはついに300万人を突破、その後も転職者数増加の流れは止まらず、今は、2人に1人が転職する時代へと突入した。

出典:総務省「労働力調査」

 また、以前は、35歳を過ぎると転職成功率が下がる、「35歳限界説」もあったが、最近では、この通説を打ち破るようなデータや動向もあり、“転職の常識”に変化の兆しが見えはじめている。

 たとえば、パーソルキャリアが運営する転職サービス『DODA』が、2018年に発表したエージェントサービス利用者の転職年齢の調査では、10年前と比較して平均転職年齢が3歳上昇。2007年下半期の平均年齢は29.1歳だったのに対し、2017年下半期には32.1歳となっている。

出典:DODA「転職成功者の年齢調査(2017年下半期)」 調査概要:2007年7月~2017年12月の間に、DODAエージェントサービスを利用して転職したビジネスパーソン

 転職成功者の年齢別の内訳を見ると、最も割合が高いのは「25~29歳」の38.1%で、次いで「30~34歳」の23.8%、「40歳以上」の15.5%が続く。前回調査との比較では、「35~39歳」の割合は5.1pt、「40歳以上」は12.6pt上昇している。転職成功者の人数そのものは、すべての年代で10年前の2007年下半期を上回っており、その中でも特に35歳以上のミドル層で転職成功者の割合が増加していることが分かる。

出典:DODA「転職成功者の年齢調査(2017年下半期)」 調査概要:2007年7月~2017年12月の間に、DODAエージェントサービスを利用して転職したビジネスパーソン

盛り上がる転職業界!

 もはや終身雇用が崩壊しつつある日本。しかし、「転職」がタブー視されてきた風潮の中で、誰にもノウハウを聞けずにさまよう「転職難民」が、今たくさん生まれている。多くの人が「とりあえず」と転職エージェントに登録し、次から次へと企業を紹介され、情報の海におぼれてしまう例が後を絶たないのだ。

 一方で、ビジネスパーソンの新たな需要に応えるように、年収1000万円以上のハイクラス向けの「ビズリーチ」、特定の職種に向けた「マイナビ看護師」など、転職エージェントも細分化され、多数登場している。

 メディアでも、江口洋介氏・小池栄子氏・杉本哲太氏出演の『ヘッドヘンター』(テレビ東京・2018年4~6月)という転職がテーマのドラマが放送されたり、雑誌『Hanako』(マガジンハウス刊・2018年6月28日号)でも「46人の、転機と決断。」という、転職を含む人生の転機が特集されている。なお、同特集内でのアンケートでは、63%と半数以上が転職経験があると回答している。

 このようにさまざまな形で、転職業界は、過去に例がないほど盛り上がりをみせている

就活生の55%が転職前提で就活をする時代に突入!

 なぜ転職者数が増えているのだろうか?発売2ヵ月で10万部を突破した書籍『転職の思考法』の著者で、就活情報サイト「ワンキャリア」執行役員の北野唯我さんは、以下のように分析する。

(1)そもそも「トップ就活生の55%が、転職前提で就活をする(ワンキャリア調べ)」など、入社時点で「転職予備軍」である。

(2)「好きなことを仕事に」論が活発にされた結果、「年収やステータス」以外の軸でも転職先を決める人が増えた。

(3)「会社の寿命と年齢のねじれ」が生じたため、そもそも、人生で一度は「転職せざるを得なく」なった。

就職の際、転職やセカンドキャリアを 視野に入れて就職活動を行ったか、 または就職先を決めたか 就職の際、転職やセカンドキャリアを 視野に入れて就職活動を行ったか、 または就職先を決めたか
(ワンキャリア調べ。2018年度卒予定の就活生142名へのアンケート。2017年11月時点の集計)

 今の若者は、もう会社に「終身雇用」など求めていないのだ。北野氏自身も、新卒で入社した博報堂を数年で退社し、ボストンコンサルティンググループを経て、ワンキャリアに参画し執行役員を務めるなど、多彩な経歴を持つ。

 また、北野氏の周りにも、年収2000万円を捨てスタートアップ企業に転職した 30歳の弁護士、年収1200万円を捨てた総合商社マンなどの例もあり、もはや一流企業に入社したから終わり、という時代ではないことがうかがえる。

 さらに、人生100年時代で、「寿命が100歳になったこと」は本質的な課題ではなく、真の課題は「寿命が伸びたが、会社の寿命が短くなったこと」による、ねじれが生じたことであると話す。

 未来永劫の安定が約束されている会社など存在しない。自分がいかに会社にしがみついても、会社自体がなくなってしまうことさえ、充分あり得るのだ。

 これらの転職業界の盛り上がりは一過性のものとは考えにくい。遠からず「転職が当たり前な社会」はやってくるだろう。「転職しなければ」「とりあえずエージェントに登録しなければ」と闇雲に動いて、転職難民になっては元も子もない。

 すぐに転職するかどうかにかかわらず、会社選びの基準、これから伸びるマーケットを見つける方法、転職エージェントの見極め方など、転職に関する正しい思考法を持ち、「いつでも転職できる自分」を用意しておくことが、結果的に未来の自分を助けることになるのである