今、顧客減、会員減に悩んでいる企業は多い。中でも定額課金=サブスクリプションモデルで利益を上げている場合には、会員取得ばかりに目を向けて、離れてしまう顧客には、なかなか有効な手を打てない現状だ。
元WOWOWグループ初の女性取締役であり、顧客を引き留める「リテンションマーケティング」で実績を上げた大坂祐希枝氏が初の著書である『売上の8割を占める 優良顧客を逃さない方法 利益を伸ばすリテンションマーケティング入門』を発売。
この連載では、この著書から一部抜粋してご紹介する。

本当の解約理由を探る方法

前回では、顧客が解約する際に「なぜ解約するのか」と理由を尋ねてもムダだ、ということをお伝えしました。

当時、WOWOWでも、通り一遍なアンケートでは、当たり前な答えしか引き出せず、解約する本当の理由を探し出さなければならないと感じていました。

そこで解約防止部では「デプスインタビュー」を実施し、解約の理由を探ることにしました。デプスインタビューとは、1対1の面談形式で顧客にインタビューする手法です。

私が行なったデプスインタビューでは、性別、年代、解約した時期、世帯構成などをもとに選んだ数十人の解約者に、マンツーマンで1時間程度、お茶やお菓子のあるリラックスした環境で話を聞きました。

生活や気持ちの変化などの質問を顧客に直接投げかけ、解約の理由や背景を聞き出していきました。そして、それを顧客の属性(先ほどの性別、年代、職業、世帯構成等)と結びつけて分析しました。

結局、約50人の顧客の話を3ヵ月間ほどかけて聞きました。この作業は時間と体力が必要で、なかなか大変でした。
 そのなかでも、時に「そうだったんだ!」と視界が開けるような話に出会うことがありました。